個人の主体的なキャリア形成を支援するという考え方は、すでにいくつかの法令に見られる。たとえば、労働施策総合推進法3条1項は、職業生活(キャリア)の適切な設計によって生涯を通じて職業の安定を図ることを労働政策の基本的理念としている。しかし、これまで、キャリアは企業から与えられるもので、個人が企業に対して配慮を求められるものではないと考えられてきた。それが、最近になって変わりつつある。裁判からいくつかの例を挙げてみたい。
https://www.rodo.co.jp/series/179337/
ポイント!
上記コラムで鎌田教授は、妊娠前まで実績を積み重ねてきた労働者のキャリア形成に配慮せずこれを損なうとして労働者の請求を認めた判例(東京高判令5.4.27)や情報専門職としてのキャリアを形成していくという原告の期待に配慮しなかったとして配転命令の無効とした判例(東京地判平22.2.8)などを紹介しています。「キャリアは財産」という認識が判例で少しずつ積み上げられて来ているようです。
下記は法政大学諏訪教授の「キャリア権」についての寄稿文です。
https://www.rengo-soken.or.jp/dio/dio395-1.pdf