著者アーカイブ: yamdada_sharoshi

人口減少が進み人件費が上昇する日本は、企業活動のあらゆる面でデジタル化が進むデジタライゼーションの影響が最も顕著に表れる国だろう。人工知能(AI)に職を奪われ望む職業につけない若者が増える一方、AIを使いこなし莫大な富を築く者も出現する。AIが大学受験に挑戦する「ロボットは東大に入れるか(東ロボ)」で警告してきたことが、現実味を持って受け止められるようになってきた。(抜粋)

ポイント!
デジタル経済社会の到来により人口知能(AI)やロボットが定型的な仕事を担うようになるとAIに仕事を奪われる労働者が増え、格差が広がる危険性があると指摘しています。ヒトだけに与えられた「知的創造性」のある仕事に全ての労働者が就ける訳ではないことも明らかです。そこで新井教授らが調査研究でたどり着いた結論は
『AIは意味は理解できない。正しさは保証できない。(ただし、大規模データと深層学習を用いると、よく「当たる」こともある。)→子供たちのAIに勝る読解力を養おう』
だそうです。基本に逆戻りするような話しで驚きですが上記URLを読むとナルホド!と納得できました。

政府は5月15日、「第27回未来投資会議」を開催した。議題は「全世代型社会保障における高齢者雇用促進及び中途採用・経験者採用促進」と「成長戦略総論の論点」。
70歳までの就業機会確保のため、定年廃止、70歳までの定年延長、個人の起業支援など法制度上で許容する選択肢を提示した上で、70歳までの雇用確保を努力義務化するとしている。2020年の通常国会への法案提出を目指す。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai27/index.html

ポイント!
翌日の日本経済新聞は一面トップで「70歳雇用企業に努力義務」の見出しをつけ企業負担増になる懸念材料として扱っています。未来会議ではその他に「中途採用の拡大」「副業・兼業の促進」にも取り組むとしています。
上記資料の中で、「資料3;基礎資料」は労働生産性に関わる要素を幅広い視点で調査分析した結果を表やグラフで分かり易くまとめられており読みやすいものでした。

内閣府は3月29日、自宅に半年以上閉じこもっている「ひきこもり」の40~64歳が、全国で推計61万3千人いるとの調査結果を発表した。7割以上が男性で、ひきこもりの期間は7年以上が半数を占めた。15~39歳の推計54万1千人を上回り、ひきこもりの高齢化、長期化が鮮明になった。中高年層を対象にしたひきこもりの調査は初めて。 
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43067040Z20C19A3CR0000/

ポイント!
収入のない50代の子と80代の親が社会的に孤立する世帯が目立ち、「8050(はちまるごーまる)問題」と呼ばれ社会問題化しているとの事でした。
「中高年の当事者のニーズを丁寧にくみ取った就労支援に加え、当事者や経験者らが集まって緩やかに経験を共有できる居場所を全国につくることが必要である」との専門家の意見。支援の体制作りには予算や人的な資源が沢山必要ですので、各自治体の力だけでは限界があるように感じますが・・。

現在、先進各国において、職業訓練及びキャリアコンサルティングを含むキャリアガイダンス施策を一定のエビデンスに基づいて議論しようとする動向がみられる。それらの動向をふまえて、既存データの再分析による職業訓練及びキャリアコンサルティングの効果の検討がなされたもの。
https://www.jil.go.jp/institute/rodo/2019/012.html?mm=1481

ポイント!
職業訓練とキャリアコンサルティングの効果について検証する為、“傾向スコア・マッチング”の手法を用いて各データの属性を均質化した後比較したものだそうです。職業訓練についてもキャリアコンサルティングに関しても何れも一定の効果と限界があったことが示されています。今後は継続して行われる効果測定(エビデンス)に基づいた施策なり課題への取り組みがなされていくのか否か、私達も注意深く見守っていく必要があります。

アデコは21日、「女性管理職への意識調査」結果を発表した。管理職になるきっかけは、「上司からのはたらきかけ」が85%以上、自ら希望した人は1割未満。今後さらに昇進を希望する人は54.4%。その理由は「給与アップ」(47.8%)、「女性が活躍できる職場にしたい」(34.8%)、「女性管理職としてのロールモデルになりたい」(32.1%)など。
職場や社会の女性の活躍に貢献したいという、高い意欲が感じられるとしている。
https://www.adecco.co.jp/about/pressroom/investigation/2019/0221/

ポイント!
上記調査結果の中で興味深かったのは、「管理職への昇進について、女性活躍推進法の「影響があった」と感じている人は約4割」でした。
現在私は女性活躍推進法に関わる部署で働いていますが、背筋がピーンと伸びる思いでした。
法律施行の威力を再認識すると同時に、その女性活躍推進法に携われることに誇りを持って今後取り組んでいこうと思えた、自分にとってはちょっと嬉しい記事でした。

厚生労働省は働く人を守る制度の整備を急ぐ。今の通常国会には、職場のパワーハラスメントを防ぐ措置を企業に義務付ける法案を提出する。これを受け、顧客や取引先など社外から受けるハラスメント行為でも企業に対策を求める方針。
執拗なクレームや無理難題を突きつけられる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」は、取引関係の中でも起きる可能性がある為、消費者庁や中小企業庁などと連携し、来春までに企業向けの指針をつくる予定。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11909500-Koyoukankyoukintoukyoku-Soumuka/0000198291.pdf

ポイント!
上記URLは職場のパワハラ防止についての検討会報告書ですが、24、25頁に「顧客や取引先からの迷惑行為」として取り上げられています。
労働新聞3月11日号によると、検討会でも“カスハラ”が無視できない状況の業界として挙がっていた介護業界で、サービス利用者からのハラスメント撲滅に向けて介護事業42法人の労使が集団協定を2月26日に締結したと報じています。「ただでさえ少ない職場の同僚が辞職するなどで職場環境が悪化し、業界の評判も落ちて入職者が減る悪循環を招きかねないため対策を急いだ」とのこと。他の接客業の会社でも個別に対応策を講じる動きが出ています。

●副業制度、8割の企業が導入していない/民間調査

産業能率大学は5日、従業員数6人以上300人以下の企業の経営者を対象とした「2019年中小企業の経営施策」結果を発表した。人員の過不足状況について「不足している」と回答した企業は50.0%だが、一方で「適正である」は前回調査(18年調査)から4.0ポイント増加、人材不足は改善の兆しがあるとしている。
副業制度については、約8割の企業が未導入で、制度を導入していても利用率は「50%以下」が9割以上を占める。
http://www.sanno.ac.jp/research/forecast2019.html

ポイント!
昨年9月~10月の経団連が実施した人事・労務に関するトップマネジメント調査では社員の副業・兼業を「現在認めていない」企業が78.1%と、大企業もほぼ上記と同様の割合となっていました。http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/005.pdf認めていない理由として・社員の総労働時間が把握できない・社員の健康確保が図れない等の健康確保面を問題視するものが半数以上あり、その他にも・情報漏洩・ロイヤリティの低下・本業との競合の恐れ等々が挙がっています。国は働き方改革の一環として副業・兼業の解禁を推進していますが、これらの懸念材料が解消されない限り多くの企業が副業・兼業を「認める」方向に動き出すのは難しいことと思われます。

学校卒業後にアルバイトなどで生計を立てるフリーターの間に、正社員就職の道が広がり始めている。売り手市場で新卒採用に苦戦するなか、卒業後の経歴を問わず若手を採りたい企業が中小企業を中心に増えており、フリーターらの就職をあっせんする人材会社は活況で、内定率が8割に達する人材会社もある。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40836340S9A200C1EA4000/

ポイント!
次に課題となるのが定着です。多くは育成の余裕が少ない中小企業が社会人経験のない若者を受け入れる形になるため離職リスクは高く、リクルートキャリアは昨年同社があっせんした既卒者を入社後に集め、一人3日間で10万円(!)の社会人研修を始めたとのこと。
会社側もその定着に向けて、働きやすい職場環境づくりや個人の成長につながる評価の実施など人材マネジメントの改善努力が求められています。

内閣府は18日、老後の生活設計と公的年金に関する世論調査結果を発表した。」何歳まで収入を伴う仕事がしたいか聞いたところ「61歳~65歳」が答えた人が30.7%で最も多かった。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40175490Y9A110C1CR8000/

ポイント!
安倍総理は昨年10月の未来投資会議で「65歳以上への継続雇用年齢の引上げについては70歳までの就業機会の確保を図り・・」と述べておられましたが、現行の65歳までの雇用確保措置制度は変えない前提だそうです。鶴光太郎慶大教授が同じく日経新聞のコラムで解説されているように、8割以上の企業が選択しているところの「60歳定年制を維持したままの65歳までの継続雇用制度」の上限年齢引き上げだけでは、60歳以上の継続雇用利用者の就業意欲を高める効果はあまり期待出来そうにないと思います。

●働き方改革関連法に関する通達等を公表/厚労省

 厚生労働省は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」に関する通達として、「基発1228第15号(労働基準法の解釈について)」「基発1228第16号(安全衛生法の解釈について)」(いずれも2018年12月28日付)を同省ホームページで公表した。また、リーフレット「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」を新たに掲載した。
(通達)
「基発1228第15号(労働基準法の解釈について)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000465759.pdf
「基発1228第16号(安全衛生法の解釈について)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000465070.pdf
(リーフレット)
「時間外労働の上限規制」
https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf
「年5日の年次有給休暇の確実な取得」
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

ポイント!
今回のリーフレットは「・・わかりやすい解説」とある通り、見やすく分かり易い内容に工夫されているなと感じました。今年4月施行に向けて、特に実務対応編やQ&Aは総務担当者にとって必見です。