著者アーカイブ: yamdada_sharoshi

仕事を特定の職種に限って働く人に対し、使用者が別の職種への配置転換を命じられるかが争われた訴訟で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は26日、労働者の同意がない配転命令は「違法」とする初判断を示した。労働環境の変更を巡り、労使間の合意を重く捉えた判断といえる。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE141B40U4A410C2000000/

ポイント!

裁判は滋賀県社会福祉協議会で働く労働者が、総務課への配転を不服として提起したもので、両者は労働者の職種を福祉用具の改造・制作、技術開発に限定する合意を交わしていたとのことです。労働者と使用者は対等な立場で労働契約の締結や変更には合意が必要と定める「労働契約法」に則った判断と解されます。

https://www.rodo.co.jp/news/176573/

連合は12月7日、「"つながらない権利"に関する調査2023」結果を発表した。インターネット調査で18~59歳の有職者1,000名の回答を得た。「勤務時間外に部下・同僚・上司から業務上の連絡がくることがある」と回答したのは雇用者の72.4%で、コロナ禍前より8.2ポイント上昇。そうした連絡に「ストレスを感じる」は62.2%、「連絡を制限する必要があると思う」は66.7%に上った。
勤務時間外の取引先との連絡(業務上の連絡)について「職場のルールがある」は19.9%、労働組合がある職場では29.7%と多い。「ルールがあることで実際に連絡が少なくなっている」と感じている人は73.3%を占めている。

https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20231207.pdf?6597

ポイント!

ゴールデンウイークのお休みの間仕事の関係者から業務上の連絡などは無かったでしょうか。上記は少し前のアンケートですが、詳しく見てみると業種によって時間外の連絡が入る状況がまちまちで、つながらない権利の行使に疑問を感じる割合もその状況を反映した形(「建設業」「宿泊業、飲食サービス業」「医療、福祉」が高い傾向)になっていました。
古くて新しい問題ですが、一括りで論じることはなかなか難しいようです。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFK138IA0T11C21A0000000/

経団連は4月16日、提言「高齢社員のさらなる活躍推進に向けて」を発表した。企業における高齢社員の活躍は、深刻化している労働力問題への対応の鍵であり、高齢社員のエンゲージメント向上を通じパフォーマンスを高めることは、イノベーション創出や、企業の生産性の改善・向上にもつながるが、高齢社員の職務・役割と賃金水準の乖離などの課題もあるとし、高齢者雇用の現状と課題、課題解決への対応と、企業の事例(12社)を掲載。

https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/033.html

ポイント!

提言は高齢者だけでなく、働く人全てに当てはまる課題でありその解決策になるのではないかと感じました。企業事例(12社)では70歳以降の継続雇用を行う企業も挙がっていますが、定年の定めのない企業の方はごく少数です。
提言中の「エイジフレンドリーガイドライン」がピンと来なかったので共有させて貰います。

https://www.mhlw.go.jp/content/001107783.pdf

失業中の労働者への一貫した支援を提供するための理論的枠組みを構築し、求職活動支援の研修プログラムに活用できる就職支援技法の開発のため、失業から再就職への移行における心理的過程を雇用関係の観点から分析しました。失業中の労働者にインタビュー調査を行い、失業に至る(離職課程)には需要消滅型と供給意欲消滅型の2つのパターンがありそれぞれ4つのタイプがあること、両方の事例において、労働者は自身の供給意欲よりも事業主からの労働サービスの需要が離職に及ぼす影響をより強く重視している傾向が見られること、などがわかりました。

https://www.jil.go.jp/institute/reports/2024/0229.html?mm=1951

ポイント!

調査結果の考察のなかで、労働サービスの需要に対応できない“労働者の無力感”“無力感の背景”といったワードが何度か出てきました。無力感からの脱却には小さな成功体験の積み重ねも重要ですが、失業者の再就職支援には失業者の心理的過程の理解が不可欠です。
タイトルの「認知的タスク分析」が耳慣れない言葉だったので下記調査も見てみました。

https://www.jil.go.jp/column/bn/column203.html

経済同友会は8日、選択的夫婦別姓制度の早期実現に向けた要望を発表した。選択的夫婦別姓制度の早期実現について賛同を表明し、妻(女性)が夫(男性)の姓に変更するケースが多いため、夫婦同姓による女性の職業活動上の不利益、行政や金融機関の変更手続きに伴う負担を指摘。旧姓の通称使用について、旧姓併記に対応した仕組み・システムへの変更に要するコストや、国際的には安全保障上のリスク要因になり得るとして、政府に対し選択的夫婦別姓制度の導入を求めている。

https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2023/240308.html

ポイント!

労働新聞3月11日号のコラムでも取り上げられていますが、具体的な例としてパスポート利用の際に(主に女性が)被る様々な不便が挙げられています。選択的夫婦別姓の導入を盛り込んだ民法改正案が答申されてから4半世紀以上が経っても法案成立の見通しすら立たない状況であることを知り、改めて驚きがっかりしました。

https://www.rodo.co.jp/news/173824/

厚生労働省は1月30日、育児に伴う残業免除期間の延長などを盛り込んだ育児・介護休業法などの改正法案要綱を労働政策審議会に示し、「おおむね妥当」との答申を得た。3歳未満の子を養育する労働者の請求に基づいて講じる残業免除の対象期間について、小学校就学前までに延長する。子の看護休暇も拡充し、対象となる子の範囲を現行の就学前から小学校3年生修了前に広げるとともに、取得理由として感染症に伴う学級閉鎖などを追加する。いずれも施行予定日は来年4月1日。今通常国会に改正法案を提出する方針だ。…

ポイント!

上記以外に、子が3歳未満で短時間勤務制度の適用が難しい場合の代替措置に在宅勤務等を追加する。子が3歳から小学校就学前までの場合、事業主が始業時刻等の変更、在宅勤務、短時間勤務制度、新たな休暇等から2つ以上を措置することを義務とする等が挙げられています。
また、介護についても、就業しつつ介護できるよう、申し出に基づき在宅勤務等の措置を講ずるよう努めること等とする案となっています。原文は下記の通りです。

▽法律案要綱(諮問文)
https://www.mhlw.go.jp/content/001200561.pdf

 政府は9日、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議を開催し、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の最終報告書等について議論し、政府対応について決定した。本人意向の転籍について、同一機関での就労が一定期間を超え、一定水準以上の日本語能力試験に合格し、転籍先が一定の要件を満たす場合に認める。就労の「一定期間」は業務内容等を踏まえ、各分野ごとに1年~2年の範囲内で設定する(資料2-1、2)。

▽資料
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/kaigi/dai17/gijisidai.html

ポイント!

 日本経済新聞の2月20日朝刊では「特定技能」の外国人女性の妊娠での雇止めトラブルが相次いでいる現状が記事になっています。首相の「我が国が外国人材から選ばれる国になるという観点」からはほど遠い話しです。せめてもし一緒に働くような機会が巡って来た時は、同じ働く仲間として支え合う気持ちで接したいと思います。

https://www.moj.go.jp/isa/content/930004040.pdf
https://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdf

 厚生労働省は、職場のエンゲージメント向上に向けた取組支援のためのリーフレットを作成した。働きがいに関係する概念として近年注目度が増しているエンゲージメントについて、その概念や、企業がエンゲージメント向上に取り組む意義に加え、具体的な取組事例などを紹介している。

▽働き方・休み方改善ポータルサイト内「ワークエンゲージメント」ページ
https://work-holiday.mhlw.go.jp/work-engagement/

▽リーフレット「働きがいのある職場づくりのために」
https://work-holiday.mhlw.go.jp/work-engagement/pdf/01.pdf

ポイント!

 ちょうど日本経済新聞でも2月19日から「変わる雇用とエンゲイジメント」(慶應義塾大学島津教授)のコラム連載が始まっています。こちらの方は、近年ワーク・エンゲイジメントが注目されるようになってきた社会的な背景からお話しがスタートしており双方を読むことによってより理解が深まったように感じました。
 ところで、エンゲージメントとエンゲイジメントはどちらの表記が正しいのか少々気になるところです。

厚生労働省は1月23日、第1回労働基準関係法制研究会を開催した。同研究会は、今後の労働基準関係法制について包括的かつ中長期的な検討を行うとともに、働き方改革関連法附則第12条に基づく労働基準法等の見直しについて具体的な検討を行う。検討事項は、(1)「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(23年10月)を踏まえた今後の労働基準関係法制の法的論点整理、(2)働き方改革関連法の施行状況を踏まえた労働基準法等の検討など。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37490.html

ポイント!

「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書については、過半数代表の規定の厳格化や運用の徹底、働く人の健康確保のために多様な就業者を含めた労働者概念の見直し等を参考意見として紹介されています。
労基法でカバーできない労働者や事業主の出現など現行法の限界や課題が多いことは以前から云われてきましたので、いよいよ大きな見直しに取り掛かる時期に来たようです。
まずは現状分析からでしょうか。

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001194506.pdf

厚生労働省は、同一労働同一賃金の実現に向けて、令和5年4~11月に実施したパートタイム・有期雇用労働法への対応状況に関する実態調査(報告徴収)の結果をまとめた。報告徴収を行った7983社のうち、不合理な待遇差の禁止を定めた同法第8条に抵触しているとして、1702社(調査企業の21.3%)を是正指導している。令和4年度1年間で是正指導した144社(同4.1%)を大幅に上回った。

https://www.rodo.co.jp/news/171503/

ポイント!

厚労省では昨年3月から、都道府県労働局による報告徴収の実施前に、労働基準監督署が非正規労働者の処遇について事実確認する仕組みを導入しており、「労基署が事前に確認したことで、効率的な指導につながった」とみているとのことです。
待遇差が不合理か否かは最終的には裁判所において判断されるものですが、裁判例の積み重ねで不合理性の判断を労働局が示すケースが増えてきたようです。

https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001183823.pdf