著者アーカイブ: yamdada_sharoshi

厚生労働省は12日、労政審雇用環境・均等分科会を開催し、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱を諮問した。「年収の壁・支援強化パッケージ」の実施に向け、雇用保険法に基づくキャリアアップ助成金制度の見直しを行うもの。
「106万円の壁」への対応として、同助成金に「社会保険適用時処遇改善コース」を新設。
短時間労働者が被用者保険の適用となる際、労働者の収入を増加させる取組、または賃上げと労働時間の延長を組み合わせる取組等を行った事業主に対し、労働者1人当たり最大50万円を助成。申請上限人数を撤廃し、2026年3月末までの暫定措置とする。
▽説明資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001155685.pdf

ポイント!

年収の壁・支援強化パッケージの具体的な支援策が示されました。これは3年の期限付きの取組だとの説明ですが、早速経済同友会から、同パッケージおよび抜本改革に対する政策提言が出されています。上記厚労省の説明資料と下記経済同友会の政策提言の双方を読んでみて理解が深まりました。

https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2023/231003t.html

厚生労働省は10月10日(火)、職場のメンタルヘルスシンポジウム「中小企業におけるメンタルヘルス対策―労働者への支援が企業価値につながる―」をオンライン(Zoom及びYouTube)で開催する。中小企業がメンタルヘルス対策に取り組む意義や具体的な取組みをテーマに、基調講演、企業での取組事例、パネルディスカッションを予定。
http://kokoro.mhlw.go.jp/mental_sympo/2023

当日は所用で視聴できませんでしたが、講演スライドを拝見してやはり視聴したかったなあと少し残念です。
▽講演スライドpdf
https://kokoro.mhlw.go.jp/wp-content/uploads/2023/10/mental_sympo_2023_2.pdf

講演内参考資料も中小企業のメンタルヘルス対策として(無料で気軽に)すぐに使えそうなものが挙げられておりますので、必要に応じて利用されるのが良いと思います。
▽講演内参考資料の一つ
https://www.med.kitasato-u.ac.jp/lab/publichealth/u_tool/index.html

 リクルートは20日、「企業の人材マネジメントに関する調査2023/アルムナイ(カムバック採用/退職者コミュニティ)編」を発表した。企業の人事担当者に尋ねた「現在実施している採用手法」は、「ハローワーク」(51.1%)、「自社採用サイト」(46.3%)、「人材紹介」(41.2%)などの順で、「アルムナイネットワークからの採用」は12.3%だった。直近1~2年の人材採用の状況を尋ねると、「アルムナイ」採用を行っている企業のほうが、「人員数」「人材レベル」のどちらも「十分に採用できている」「ある程度採用できている」と答えた割合が高く、採用がうまくいっていると指摘している。

https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20230920_hr_01.pdf

ポイント!

「ホンマにメリットばかりなのかね?」と疑問に思いもう少し探したところ、マンパワーグループによるほぼ同様の実態調査結果が2022年にJILPTに掲載されており、そのデメリットについても述べられていました。
何れにしても人材不足の中「アルムナイ採用」による再雇用の導入は会社にとって様々なメリットをもたらす可能性がありそうです。

https://www.manpowergroup.jp/client/jinji/surveydata/20220629.html

 厚生労働省では「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正し、9月1日付で厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛てに通知した。
 この改正は、近年の社会情勢の変化等に鑑み、最新の医学的知見を踏まえて「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」において検討を行い、今年7月に報告書が取りまとめられたことを受けたもの。…以下略

<心理的負荷による精神障害の労災認定基準の改正概要>
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001140928.pdf

ポイント!

 労働新聞でもコメントされていた通り、新しい負荷評価表でイメージがわきやすくなったように感じます。加えて「具体的な出来事」としてカスタマーハラスメントなどが取り上げられるなど今後審査の迅速化が進むことを期待します。

https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001140929.pdf

 令和6年4月1日以降、「自動車運転の業務」は年間の時間外労働時間の上限が960時間になる。これに伴い「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)も改定された。上限規制適用により、トラックドライバーの人手不足はさらに深刻となり、なんらかの対応を行わなかった場合、6年度には輸送能力が約14%(4億トン)不足すると指摘されている。
 トラックドライバーの年間労働時間は全職業平均より約2割(400~450時間)長い。4年度の過労死等の業種別労災補償状況によると、脳・心臓疾患は前年度に引き続き、請求件数・支給決定(認定)件数ともに「道路貨物運送業」が最多となっている。長時間労働の原因の一つは、発着荷主の積卸し場所での長時間の荷待ち時間、荷役時間にあり、荷主対策は待ったなしである。以下略…

https://www.rodo.co.jp/series/154073/

ポイント!

鎌田先生はこの続きで、トラックドライバーの低賃金の原因にも切り込んでおられます。
曰く業界には荷主との交渉力が弱い中小企業が多く低い運賃・料金に押さえられていること。
今年7月国土交通省は荷主企業・元受け事業者への監視体制強化の一環として「トラックGメン」を創設しました。総勢162名とのことですが、まずは改善が必要と思われる荷主由来の問題に関する情報収集を早急に進めて頂きたいです。

https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001620339.pdf

 公正取引委員会と厚生労働省、中小企業庁はフリーランス新法のQ&Aを策定した。新法の規制の対象となる従業員を使用する発注事業者について、雇用保険の対象者の範囲を参考にするとしている。
 新法は従業員を使用せず個人として業務委託を受けるフリーランスと、従業員を使用して組織として業務委託する発注事業者間の取引適正化を目的としている。以下略…

https://www.mhlw.go.jp/content/001115387.pdf

ポイント!

特定業務委託事業者の定義や特定業務委託事業者の遵守事項など一つ一つ丁寧に分かり易く説明してありました。
法律自体は今年4月に可決成立、5月に交付されているのですが具体的な内容になると未定の部分が多く、フリーランスの方が直面した問題毎に、「公正取引委員会(法務省)」へ、「中小企業庁(経済産業省)」へ、「厚生労働省」へ、とそれぞれ振り分けられることになりそうなのがとても気になります。

https://www.mhlw.go.jp/content/001124404.pdf

 経済産業省で働く性同一性障害の職員が、女性用トイレの使用制限を不服として訴えた裁判で、最高裁判所第三小法廷(今崎幸彦裁判長)は使用制限を違法と判断した。二審の東京高等裁判所は、経産省には他の職員が持つ性的な不安も考慮する必要があったとして、使用制限を適法としていた。 職員は生物学的な性別は男性で、性同一性障害の診断を受けている。経産省と人事院は、執務室のある階とその上下階の女性トイレの使用を認めず、2階以上離れた女性トイレの使用を認める決定をしていた。
 最高裁は、経産省が同僚らを対象に開いた説明会で、明確に異論を唱えた者はおらず、現に2階以上離れた階の女性トイレを使用していてトラブルになったことはないと指摘。使用を制限する理由はなく、裁量権の逸脱・濫用に当たるとした。
▼判決文はこちら
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/191/092191_hanrei.pdf

ポイント!

一審は違法、二審では適法とされたものを、最高裁は人事院の判定を裁量権の逸脱・濫用にあたるとし違法と評価しました。その根拠として女性トイレの使用に関しての人事院の判断を本人が被る不利益より同僚職員への配慮を過度に重視し公平性妥当性を欠いているとしています。
判決の補足意見にも述べられているように、今後は社会全体で議論され、コンセンサスが形成されることが必要であることは言うまでもありません。

 厚生労働省は、建設業について、「時間外労働の上限規制・わかりやすい解説」と「時間外労働の上限規制に関するQ&A」を公表した。建設業は、2024年4月1日から月45時間、年360時間、年6回まで月80時間未満、年720時間等の上限規制が適用されるが、「災害時の復旧・復興が見込まれる」場合に限り上限を超えて労働させることができるとされている。「わかりやすい解説」には、いわゆる36協定届の新様式とその記載例も掲載されている。改正労基法(2019年4月施行)による時間外労働の上限規制は、建設業のほか、自動車運転業務、医師等について適用が猶予されてきたが、2024年4月から、事業、業務のあり方等を踏まえた上限が設定される。
(わかりやすい解説)
https://www.mhlw.go.jp/content/001116624.pdf

ポイント!

「建設業の時間外労働の上限規制・わかりやすい解説」は2019年4月の時間外労働と年休5日がテーマの「わかりやすい解説」2つに続く読み易いパンフレットだなと感じました。ただ労基法33条1項と139条1項の関係と届出の違い(Q&Aの2)などは少し複雑で様式を取り違えやすい恐れがありますので、下記Q&Aも確認されることをお勧めします。
https://www.mhlw.go.jp/content/001115877.pdf

2023年4月末に、労働政策研究報告書No.226「労働審判及び裁判上の和解における雇用終了事案の比較分析」を上梓した。本リサーチアイでは、今回の報告書に至るこの分野の先行研究の推移を概観した上で、前回の平成調査との比較に重点を置いて、今回の令和調査の結果を図解していく。

https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/078_230531.html?mm=1872

ポイント!

上記調査では裁判所における解雇の金銭解決の解決金額(実態)などを平成と令和に分けて、一部の期間、限られた事案との断りはあるもののかなり具体的な金額分布や中央値が示されています。
今回の新しい調査(令和調査)に労働局のあっせんの結果が入っていないのは残念ですが、労働相談業務に携わる者としては分かり易くて詳しい最新情報を得ることができて大変有難いです。

大学で労働法の講義を長く担当していると、社会保険労務士になる受講者がでてくる。今年2月に、私の労働法ゼミで社労士になった教え子3人と会食した折りには、新型コロナの感染拡大期は、雇用調整助成金の申請書作成で大忙しだったという話で盛り上がった。労働行政に提出する書類の作成は社労士にとって重要な仕事であることは理解している。だが、今後もそうあり続けるのか。最近は弁護士と雑談すると、…

https://www.rodo.co.jp/series/151211/

ポイント!

上記は鎌田先生(東洋大学)の短いコラムの一部ですが後半は、今後予測しがたい将来に向けて社労士個々人が自身のキャリアをデザインしていくことが必要になってきますよ、との(元教え子達を含む)社労士への暖かいメッセージであると受け止めました。
が、少しへそ曲がりの私は日経新聞の土曜日のコラムで若松英輔氏が「言葉のちから」で述べられている「○○プラン△△プランという言葉に仕事人としては違和感を覚えないが一個の人間として接するときは感触が異なる。ままならないのが人生だ・・(5/20版)」の言葉の方にもまた深く共感します。

https://www.nikkei.com/theme/?dw=23020102