インフォメーション

従業員のリスキリング(学び直し)を実施した企業に支払われる国の「人材開発支援助成金」について、不適切な支給が検査対象の3割に上ったことが9日、会計検査院の調べで分かった。企業がリスキリングを訓練機関に外注した際、一部費用が実質的にキックバックされ、支給要件の「全額負担」とは認められない事例があった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE088GF0Y4A001C2000000/

ポイント!
政府が6月に閣議決定した骨太方針にも「賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現」のための重点項目の一つとして「全世代対象のリスキリングの強化」を挙げており、リスキリング市場の拡大が進み上記助成金の支給額も前年比3割増しとなっていたようです。
ちなみに不正受給が判明した場合の取扱いについては下記の通りです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index_00061.html

政府の規制改革推進会議「働き方・人への投資ワーキング・グループ」は9月25日、会議を開催した。議題は「時間単位の年次有給休暇制度の見直しについて」。厚生労働省、全国社会保険労務士連合会、民間企業(佐川急便)より資料が提出された。厚労省の資料は、制度概要や対応状況、研究会の検討状況などを紹介。
全国社労士連合会と民間企業からは、時間単位取得制度に関して、育児・介護等と仕事の両立や年5日の年次有給休暇の確実な取得との関係から、現行の上限日数(5日)の拡大を求める意見が示された。
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2409_03human/240925/human01_agenda.html

ポイント!
厚労省のアンケート調査を見ていて、時間単位年休を「導入している」事業場が全体の4割弱の中でさらに制度があっても利用しない労働者が4割を超える現状で労働者に向けて時間単位年休取得の上限拡大についての是非を問うてみても結論出ないだろうなあと感じました。
とは言え、時間単位年休の取得(制度導入)によるメリットデメリットがある程度明確になってきているようなので、検討した後は現行の制度を変えるべきか否かある程度の結論は出して貰いたいと考えます。

米インターネット通販最大手アマゾン・ドット・コムは16日、世界の全社員に原則として週5日の出社を義務付けると発表した。在宅勤務より、社員同士が対面で会うことが学びの機会やアイデアの創出に有効だと判断した。2025年1月から適用する。(シリコンバレー時事 2024年9月17日)
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/kiji/20240920a.html?mm=1996

▽CEOから従業員宛の書簡/米アマゾン法人サイト
https://www.aboutamazon.com/news/company-news/ceo-andy-jassy-latest-update-on-amazon-return-to-office-manager-team-ratio

ポイント!
9月22日付け日経新聞にも「米企業に『出社強制』の波」と題して大きく取り上げられています。
記事の中で気になったのは、在宅勤務やリモートワークが生産性の低下や従業員のモラル低下に繋がっているとのデータや出来事が具体的に示されていたことです。
これらについては今後国内でも議論される可能性が出てくると思われます。

厚生労働省は、派遣労働者の賃金について、労使協定方式による場合に比較対象とする同種業務の一般労働者の平均的賃金額を公表している。派遣労働者の賃金は、賃金構造基本統計調査の職種別平均賃金、職業安定業務統計の求人賃金に基づく基本給・賞与・手当等(いずれも時給換算額)と同等以上とする必要がある。
適用期間は、2025年4月から2026年3月まで。

▽全体版
https://www.mhlw.go.jp/content/001294217.pdf

ポイント!
上記は毎年8月下旬ごろ局長通達として公表されているものです。
今年の大きな変更点は「職業安定業務統計」の職種区分の変更で、大分類の項目数が
11→15に増えました。
実務的には業務ごとの各基準値がほぼ全て前年より40円前後上昇している影響の方が大きいと思われます。年明けの労使協定締結に向けて、あらかじめ派遣元様と派遣先様の間で協議や調整の時間を取っておかれるようお勧めします。
https://www.mhlw.go.jp/content/001213425.pdf

厚生労働省は7月30日に開催した社会保障審議会年金部会で、20代から50代で配偶者と死別した者を対象とする遺族厚生年金について、養育する子供がいない場合は、男女とも5年の有期給付とすることを提起した。
現行制度では、主たる生計維持者を夫とする考え方により、30歳以上の妻については終身給付であるのに対して、夫は55歳以上でないと受給できない。こうした男女差を、女性の就業の進展や共働き世帯の増加等の変化を踏まえて見直す。現行制度を前提に生活設計している者に配慮する等の観点から、見直しは、相当程度の時間をかけて段階的に進めるとしている。
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001281516.pdf

ポイント!
見直し案は大筋で了承されたことから来年の通常国会で制度改正の関連法案が提出される予定とのこと。
すでに遺族厚生年金を受け取っている人や、18歳未満の子がいる人、60歳以上で配偶者と死別した人は現行の制度のままの給付内容となります。
将来的には、遺族基礎年金が支給されない(されなくなった)40歳以上65歳未満の妻が現在受け取っている中高齢寡婦加算も段階的に廃止されるようです。

(公財)介護労働安定センターは7月10日、2023年度「介護労働実態調査」結果を発表した。事業所の従業員不足感は「大いに」「やや」不足も合わせ、64.7%で依然として不足感が強い。特に、訪問介護は「不足」が(大いに、やや含め)約8割。採用率は、訪問介護員、介護職員をあわせ16.9%で2年連続で前年度比増、離職率は13.1%で同減。
離職率が低下傾向にある事業所では理由として「職場の人間関係改善」が最多の63.6%。続いて、「残業削減、有給休暇所得促進、シフト見直し等を進めた」45.6%、「職場で介護の質を高めるための意識共有」37.8%など。調査は、介護分野の人材確保・育成などのため、介護事業所と労働者を対象に実施。
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousagaiyou.pdf

ポイント!
人手不足が深刻な介護業界において(公財)介護労働安定センター発信の「介護労働実態調査」結果は興味深く、他の業界でも参考になる知見が多いのではないかと感じました。
事業所側の従業員の採用・定着促進の取組みと労働者側の満足度やニーズが上手くリンクしているところが多く、この調査が長年続けられ発信されている理由の一つなのかなと思います。
https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/

 個人の主体的なキャリア形成を支援するという考え方は、すでにいくつかの法令に見られる。たとえば、労働施策総合推進法3条1項は、職業生活(キャリア)の適切な設計によって生涯を通じて職業の安定を図ることを労働政策の基本的理念としている。しかし、これまで、キャリアは企業から与えられるもので、個人が企業に対して配慮を求められるものではないと考えられてきた。それが、最近になって変わりつつある。裁判からいくつかの例を挙げてみたい。
https://www.rodo.co.jp/series/179337/
 
ポイント!
上記コラムで鎌田教授は、妊娠前まで実績を積み重ねてきた労働者のキャリア形成に配慮せずこれを損なうとして労働者の請求を認めた判例(東京高判令5.4.27)や情報専門職としてのキャリアを形成していくという原告の期待に配慮しなかったとして配転命令の無効とした判例(東京地判平22.2.8)などを紹介しています。「キャリアは財産」という認識が判例で少しずつ積み上げられて来ているようです。
下記は法政大学諏訪教授の「キャリア権」についての寄稿文です。
https://www.rengo-soken.or.jp/dio/dio395-1.pdf

 厚生労働省は、今年の通常国会で成立した改正育児介護休業法に関連し、3歳から小学校就学前までの子を養育する労働者を対象とする「柔軟な働き方を実現するための措置」の義務化の施行日を、令和7年10月1日とする方針だ。6月26日に開いた労働政策審議会雇用環境・均等分科会に施行期日に関する政令案を示している。
 改正法では、柔軟な働き方を実現するための措置として、①始業時刻などの変更、②テレワーク、③短時間勤務、④新たな休暇の付与――などのなかから事業主が2つを選択して用意し、うち1つを…
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf

ポイント!
育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法の改正について動きがありましたので、先月に引き続きご紹介します。育児関連の「柔軟な働き方を実現するための措置義務」と「仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮義務」の施行日が上記のとおり決まりました。
複雑で分かりづらいという声が多いようで東京労働局ではショート動画(随時更新)の配信を開始して周知に力を入れているそうです。
https://www.youtube.com/shorts/0VHK1VfVSfg

 国立社会保障・人口問題研究所が4月に「日本の世帯数の将来推計」を公表した。2050年には単独(一人暮らし)世帯が44.3%に達し、特に一人暮らしをする65歳以上の人が男性は450万人、女性は633万人になると推計されている。つまり一人暮らしの高齢者が1千万人を超える社会がもう...
〇結婚や仕事の希望かなわぬリスク高まる
〇日本の社会保障は従来型人生設計を前提
〇家族構成や雇用形態の影響少ない年金に

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD281QY0Y4A520C2000000/

ポイント!

 山田教授が述べられている、現社会保障制度が前提とする標準的ライフコースから外れる人が多い今の時代に即した制度構築をし直す必要があるという主張には多いに納得できました。
 ちなみにコラムの論点の根拠データは下記資料の13,14頁辺りです。

https://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2024/hprj2024_gaiyo_20240412.pdf

 介護休業制度の個別周知の義務化などを盛り込んだ改正育児介護休業法が、5月31日に公布された。
 来年4月から、家族の介護に直面した労働者がその旨を申し出てきた場合、自社の両立支援制度を個別に周知し、利用の意向確認を行うことをすべての事業主に義務付ける。40歳到達時など、介護に直面するよりも早い段階で情報を提供することや、相談窓口設置などによる雇用環境の整備も義務化する。労働者が支援制度を活用しないまま、仕事との両立をあきらめて離職してしまう事態を防ぐのが狙いだ。

https://www.rodo.co.jp/column/177961/

ポイント!

令和6年5月に育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法が改正されました。

1 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
2 育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
3 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

 今回の改正は現行法の拡充や強化措置が多いので分かり難いかもしれません。とは言え1や2よりさらに地味な3についても今後事業主は知らなかったでは済まされないことを肝に銘じておくべきです。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html