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帝国データバンクは22日、「女性登用に対する企業の意識調査(2025年)」結果を公表した。女性管理職の割合の平均は11.1%で過去最高となったが、前年比0.2ポイント増と小幅の上昇にとどまった。女性役員割合の平均も13.8%と過去最高となったが、上昇は同0.3ポイント。一方、「役員が全員男性」の企業は52.1%で依然として50%を超えている。企業の女性活躍推進策は「公平な評価」が61.9%でトップ。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250822-women2025/

ポイント!

上記の報告では、企業が女性活躍推進のために取り組んでいることを男女平等、意識改革、経営・人事戦略、働き方(男性/女性)と分かり易くグループ分けもされていましたが、全体としては課題が多く企業規模の格差問題もありで今後の推進の難しさを感じました。
これとは別に日本経済新聞の「少子化対策の盲点」の連載コラムの第一回でも長時間労働を前提とする正社員制度のままでは両立できる女性は本当に限られてしまうと述べられています。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO91353350W5A910C2EP0000/

4月から段階的に施行されている改正育児・介護休業法のうち、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置と仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が10月1日から義務化される。柔軟な働き方を実現するための措置では、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者について、始業時刻等の変更、テレワーク等(10日以上/月)、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇の付与(10日以上/年)、短時間勤務制度の5つの措置の中から2つ以上を講じ、労働者が1つを利用できるようにすることなどが事業主の義務となる。
仕事と育児の両立に関する意向聴取等では、妊娠・出産等の申出時と子が3歳になる前の適切な時期に、勤務時間帯、勤務地、両立支援制度の利用期間、業務量、労働条件の見直し等の就業の条件について、労働者の意向を聴取し、配慮しなくてはならない。

▽育児・介護休業法 改正ポイント(10月1日施行は4頁以降)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf

ポイント!
育児・介護休業法の改正は何度か行われており、改正法に伴う就業規則の見直しと届出、雇用環境整備、個別周知・意向確認など関係部署の方々のご負担は増しています。
どうせ取り組むなら前向きに取り組みたいところです。そこで法改正のバックボーンとなっている労働政策審議会建議「仕事と育児・介護の両立支援対策の充実について」から法改正の背景や趣旨を読み返してみるのも一つの方法かなと思いました。
https://www.mhlw.go.jp/content/001199670.pdf

OB・OG訪問など就職活動の場で起こるセクハラに、企業と学生の双方が頭を悩ませている。会社を介さない社員訪問は実態を知る貴重な場である一方、被害に遭った学生は選考への悪影響を懸念して申告をためらうジレンマがある。業務との線引きが難しい面があるなか、方針を定めたり相談窓口を外部に作ったりする動きが出始めた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC041CU0U5A700C2000000/

ポイント!
厚生労働省の2023年調査によると、インターン中にセクハラを受けた学生は男性が32%、女性は28%いたとのことで、インターン以外の就活中でもそれぞれ3割前後の被害を経験していたことが報告されています。
今年6月に男女雇用機会均等法が改正され1年半以内に就活生らに対するセクハラの防止が事業主に義務付けされます。以前ご紹介したカスタマーハラスメント対策と併せて事業主は対応方針の明確化と周知、予防策の浸透が必要となります。
https://www.mhlw.go.jp/content/001502758.pdf

内閣府は8月14日、「仕事と生活の調和推進のための調査研究」結果を公表した。同居している子ども(小学生以下)がいる20~49歳の男女2,853人を対象に、キャリア形成と育児等の両立を阻害する要因等について尋ねた内容となっている。
育休取得前後のキャリアプランの変化を年代・性別で比較すると、35歳以上では女性の約半数が「当初描いていたプランよりもキャリアをセーブ」と回答、プラン変更せず仕事と育児を両立するために必要だったと思うサポートとして、女性は「柔軟な勤務制度と利用のしやすさ」「職場の上司の姿勢」「職場全体の雰囲気」などが挙がった。

▽調査研究報告書
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/research/wlb_r0707/1.pdf

ポイント!
8月25日付けの労働新聞3面では、「男女賃金差縮まらず」の見出しで日本生産性本部が実施した東証プライム上場企業の「有価証券報告書における人的資本開示状況」調査の結果を紹介しています。
キャリアプランにおいても賃金差においても、相変わらず女性活躍が進まない状況のようです。根強い性別役割分担意識やそれに基づく社会の仕組みなど理由は様々あり複雑で難しい問題ですが、このまま女性が活躍できない企業が多い状況であり続けることは決して望ましいことではありません。
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/20240801_report.pdf

産業能率大学総合研究所は15日、「2025年度(第36回)新入社員の会社生活調査」結果を発表した。「年功序列」と「成果主義」のどちらを望むか尋ねたところ、「成果主義」43.6%に対し、「年功序列」は56.3%で「年功序列」を望む回答が「成果主義」を初めて上回った。また、「終身雇用」を望む割合は69.4%、「同じ会社に長く勤めたい」51.8%といずれも増加傾向にあり、“安定志向”の強さがうかがえるとしている。「働く上で最も魅力的と思う環境」については、「仕事はそこそこ大変だが、成長を実感できる」58.8%が「仕事はそこそこ楽で、成長の機会も少しはある」30.6%を約28ポイント上回った。“安定志向”でありつつもほどよいチャレンジを通じ着実に成長できる環境を求めていることがうかがえる結果となった。
https://www.hj.sanno.ac.jp/cp/research-report/2025/07/15-01.html

ポイント!
「そこそこ」って何?と気になり、データを見てみました。最も魅力的だと思う職場環境を尋ねる質問の項目で、「そこそこ大変」の上に「かなり大変」があり、「そこそこ楽」の下に「かなり楽」がありました。
会社や上司・先輩に求めるものや不安に思っていることなどの割合が高かった項目は、どれもなるほどと感じるものばかりでした。20年以上にわたって回答割合の経年比較されているものがあり、成果主義より年功序列を望む割合が過去一番高かった点について、今後の新人定着のヒントがあるようにも感じました。

厚生労働省は、雇用仲介アプリを使って短時間・単発の就労を行う「スポットワーク」で働く労働者からの相談が増えているとして、労務管理上の留意事項に関するリーフレットを作成した。労働契約の成立時期について、「特段の合意がない限り、スポットワーカーが応募した時点で成立する」との見解を示している。労働契約成立後に事業主の都合で休業させたり仕事を早上がりさせたりする場合に、休業手当を支払う必要があることも明記した。厚労省は雇用仲介事業者が加入する(一社)スポットワーク協会のほか、経団連など経済団体に対し、会員企業への周知を要請した。
https://www.rodo.co.jp/news/202655/

ポイント!
厚労省からの要請を受けて、(一社)スポットワーク協会から「スポットワークサービスにおける適切な労務管理へ向けた考え方」と題したリーフレットが出されていますが、気になる点が二つ。
一つ目は協会が対応開始を2025年9月としていること。二つ目は事業主からの解約(キャンセル)の扱いで、就業開始の24時間前迄であれば業務量の変化や掲載ミスを理由とした解約ならば休業手当の支払い不要とされている点です。トラブル発生の際の解決が難しくなりそうに感じます。
https://www.jaswa.or.jp/wp-content/uploads/2025/07/%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E5%8D%94%E4%BC%9A%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88-1.pdf

顧客による著しい迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」対策を企業に義務付ける改正労働施策総合推進法などが4日、参院本会議で可決、成立した。2026年中の施行を目指す。従業員をカスハラから守るため、企業に防止措置を義務付ける。対応方針の明確化や相談窓口の設置を求める。パワハラやセクハラはすでに企業の防止義務があったが、カスハラはなかった。パワハラやセクハラと同様、企業への罰則はない。
https://www.mhlw.go.jp/content/001438881.pdf

ポイント!
東京都では、4月から「東京都カスタマーハラスメント防止条例」が施行されています。防止条例に罰則規定は設けられていませんが、行為によっては刑法に定める犯罪に該当すると処罰される可能性もあります。
今後は全ての企業に防止義務がかかってきますが、顧客や従業員の年代、職場や周辺の環境、業種や役割等により各々の判断基準にギャップがありそうなことや企業が顧客には毅然とした態度が取りにくいことなど社内のハラスメント防止策以上に課題が多そうです。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf

政府は5月16日、年金制度改革関連法案を閣議決定した。
主な改正内容は、(1)パートらへの適用拡大として、月8.8万円(年収106万円相当)の賃金要件撤廃(公布の日から3年以内)、現行51人以上の企業規模要件を2027年10月から段階的に引き下げ2035年10月に撤廃、労働者の保険料負担を50%以下とする時限特例と労使折半超の保険料を負担した事業主への助成金による支援、常時5人以上の個人事業所の非適用業種(宿泊、飲食サービス等)への適用、(2)在職老齢年金の支給停止基準額の62万円への引き上げ(2026年4月)、(3)標準報酬月額の上限(65万円)の段階的引き上げ(2029年9月に75万円)、(4)遺族厚生年金の支給対象に60歳未満の男性を追加し、男女格差の解消を図る、など。報酬比例部分のマクロ経済スライドによる給付調整については次期財政検証の翌年度(2030年度を予定)まで継続する。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html

ポイント!
年金制度改革法が6月13日に成立しました。人手不足問題の緩和や年金財政の安定を図る狙いがあるとのことで段階的で長期に渡る改革が行われることになります。
影響の範囲が広いのは(1)短時間労働者への適用拡大「106万円の壁の撤廃」で、時期や措置の内容について正しく理解することが必要です。

格安航空会社(LCC)のジェットスター・ジャパンの客室乗務員が、フライトなど長時間の拘束が続く勤務時間中に休憩時間が確保されていないのは労働基準法違反だとして、休憩がない勤務の禁止と損害賠償を求めた集団訴訟の判決で、東京地裁は22日、安全配慮義務違反を認め、休憩の付与と賠償を命じた。
労基法の施行規則で、長距離乗務している場合には休憩時間を与えないことができるとする規定の適用が主な争点となった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE21BG10R20C25A4000000/

ポイント!
会社は判決を不服として即日控訴したとのことです。
地裁は、労働者らの業務は労規則第32条2項の例外業務に当たると認めつつ、休憩に相当する時間が不足しているとして、同社に慰謝料など計385万円の支払と、休憩時間に相当する時間を付与しない勤務の差し止めを命じました。労基法に違反する勤務命令は労働者の人格権を違法に侵害する行為と厳しい判断を示しています。

今年もさっそく2026年春に卒業する大学生などの就職活動がスタートした。近年、若年労働市場はバブル期超えの売り手市場が続いているが、そのなかで、若者のキャリアに対する意識は変わりつつある。JILPTが2023年11月に実施した「第3回若年者の能力開発と職場への定着に関する調査」の結果から、キャリアのスタート地点となる初職の経験に着目して、その変化をとらえる知見の一部を紹介したい。
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/086_250422.html

ポイント!
上記調査報告を読んで、これから長時間労働をまず無くしていく取り組みがどうしても必要なのではないかと改めて感じました。という次第で、5月6日に日本経済新聞のコラムで取り上げられた京都大学柴田先生の「『休み方』の現在地(下)/人口構造変化に遅れた対応」には深く頷けました。柴田氏はまず残業割増率を欧米並みに50%として「休み方改革を進めるべき」と提言されています。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO88435440S5A500C2KE8000/