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厚生労働省は7月8日、改正労働者派遣法が規定する派遣労働者についての同一労働同一賃金の確保措置の一つである「労使協定方式」による場合の比較対象として、「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」等を公表した。改正派遣法は、「派遣先の通常の労働者との均等・均衡方式」か、一定の要件を満たす「労使協定方式」のいずれかにより派遣労働者の待遇を確保することを派遣元事業主に義務づけている。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html
(概要)
https://www.mhlw.go.jp/content/000526705.pdf

ポイント!
公正な待遇確保のための法律の施行は2020年4月からですが、中小企業は1年遅れとなります。今一度中小企業の範囲について確認したいと思います。下記の19,20頁の「Q&A-3、4」の留意点に注意して5頁の表で中小企業に該当するか否かをご判断願います。案外「何となく」で進んでおられる事業主さんもあったようですので、今一度見直しをお願いします。
https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf

女性の就業率は空前の高さである。総務省「労働力調査」によると、2018年は15~64歳女性の就業率が69.6%に達し、その2年前(2016年)から米国やフランス(ともに67%)を上回った。景気回復が始まった2012年からの6年間で9ポイントも上がり、世界的にみてもとても早いペースの上昇である。30代を中心に出産や育児によって働く人が減る「M字カーブ現象」が解消されつつあるようにも見える。

https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/memorable/1500th/03.html?mm=1516

ポイント!
上記レポート(および関連研究)では女性就業率が上がったことを手放しで喜べない現状を「貧困専業主婦」というキーワードを使って解説しています。今も日本社会に深く根付く「夫は外で働き、妻は家庭を守る」男女役割分業慣行にも拘らず、男性(夫)の収入が減少して大半の専業主婦世帯では中流の暮らしを維持できないから人手不足の波に乗って主婦が生活費補てん目的で低技能・低賃金の非正規労働に就いている構図となっていること。不況期には低技能の主婦の非正規労働者が真っ先にレイオフされる対象となる為、レイオフ後はこれらの世帯が中流階級の生活を維持することは難しくなり再び2011年頃のように貧困専業主婦世帯が増えるであろうと予測しています。
気になったので早速、周 燕飛氏の「貧困専業主婦」をAmazonで申し込みました。

起業や出産・育児で離れた社員の「出戻り」を促す動きが活発になっている。以前は一般の中途採用と同様の扱いだったが、すかいらーくなど受け入れ制度を整える企業が相次ぐ。出戻り社員は仕事内容や社内事情を熟知した即戦力として扱える。一度退職した社員に「裏切り者」とレッテルを貼らず、積極的に受け入れることが、人手不足を乗り切る鍵になる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47294750S9A710C1TJ1000/

ポイント!
すかいらーくは、2017年に再雇用制度を整えた上で専用募集サイトを開設したところ、これまでに数十人の退職社員が再び同社の門をたたいたとのことです。他にも会社独自の受入制度を整えたり、退職社員を一元管理できるサービスを行う会社が現れたりと人手不足を乗り切るための危機感からか退職社員の再雇用の動きが進んでいるとのこと。
ただし正式な制度を設けている企業は8%にとどまっているとのことで、トラブル防止の為にも各社で再雇用制度の整備をする必要ありです。

NTTデータ経営研究所は5日、「働き方に関する調査」結果を発表した。働き方改革に取り組む企業は49.3%(対前年比10.4ポイント増)。働き方改革に取り組む企業の従業員は、取り組んでいない企業と比べて、働きやすさを感じている割合が3割弱高い。一方で、働き方改革に取り組んでいる企業の従業員が感じるプラスの変化として、「休暇の取りやすさ」は5.3ポイント増加(32%→37.3%)しているものの、「労働時間の減少」をはじめとしてプラスの変化を挙げる割合が昨年度比で減少している。
https://www.nttdata-strategy.com/aboutus/newsrelease/190705/index.html

ポイント!
調査は今年の5月下旬に1,110人の20歳以上のホワイトカラー職種を対象として行われたものです。上記の後段にも触れられていますが、「生産性の向上」に対するプラス変化は7.5ポイント減少(18.5%→11%)、「プラスの変化はない」は昨年度比4.6ポイント増加(25%→29.6%)と、効果を上げることが大変難しい課題や職場があることが見てとれます。
これらのことより今後の働き方改革の推進の為には、取り組む企業を増やすことに加えて、業種や各々の職場の課題に沿ったより進化した形の改革が求められていくのではないでしょうか?

企業に未払い賃金を請求できる期間の延長を巡り、労使間の対立が続いている。厚生労働省は2020年4月の改正民法施行をにらんで有識者検討会を設置。現行の2年から最長5年に延ばすことを検討していたが、経営側が反対し、当初の取りまとめの予定から1年近くたっても具体的な延長期間で結論が出ないままだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46061210T10C19A6EE8000/

ポイント!
経団連や日本商工会議所から消滅時効延長は「サーバーの改編などで1社あたり数千万円程度の費用がかかる」「異動や転勤、退職などで正確な記録の確認が困難」「小規模事業者にとっては過大な負担となる」などの理由で反発が強い為との事情だそうです。
6月10日付の労働新聞では、消滅時効が2年から5年に延長されると労使紛争の増加や紛争自体の長期化が予想されることより、生産性向上が課題となっている今日、法改正は控えるべきではないかとの主張を行っています。
ところで、何年間もサービス残業せざるを得なかった労働者の思いは、なかなか会社組織のように纏まって上手く伝える術がないのが現状ではないでしょうか?何より未払い賃金が発生する職場を無くすることが急務であると考えます。

現在、社会問題化しているパワーハラスメント、カスタマーハラスメントについて、ヒアリング調査、書面調査により、職場のパワーハラスメントの具体例の収集・分析結果。パワーハラスメントについては、企業活動に対する阻害要因、経営に対する重大なリスク要因と認識されており、多くの企業で取り組みが進められていることなどが明らかになってきている。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2019/216.html?mm=1498

ポイント!
今月5日パワハラ防止策の義務化を含む労働施策総合推進法(旧雇用対策法)等の公布がありました。上記資料のまとめでも述べられていますが、事例の蓄積やマンパワーの十分でない中小企業にとってパワハラ対策の一助となるのが厚生労働省「あかるい職場応援団」HPのようです。裁判例や他の企業の事例、Q&Aなども分かりやすく具体性もあり参考になることが多いと思います(イラストが独特ですが・・)
https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/

人口減少が進み人件費が上昇する日本は、企業活動のあらゆる面でデジタル化が進むデジタライゼーションの影響が最も顕著に表れる国だろう。人工知能(AI)に職を奪われ望む職業につけない若者が増える一方、AIを使いこなし莫大な富を築く者も出現する。AIが大学受験に挑戦する「ロボットは東大に入れるか(東ロボ)」で警告してきたことが、現実味を持って受け止められるようになってきた。(抜粋)

ポイント!
デジタル経済社会の到来により人口知能(AI)やロボットが定型的な仕事を担うようになるとAIに仕事を奪われる労働者が増え、格差が広がる危険性があると指摘しています。ヒトだけに与えられた「知的創造性」のある仕事に全ての労働者が就ける訳ではないことも明らかです。そこで新井教授らが調査研究でたどり着いた結論は
『AIは意味は理解できない。正しさは保証できない。(ただし、大規模データと深層学習を用いると、よく「当たる」こともある。)→子供たちのAIに勝る読解力を養おう』
だそうです。基本に逆戻りするような話しで驚きですが上記URLを読むとナルホド!と納得できました。

政府は5月15日、「第27回未来投資会議」を開催した。議題は「全世代型社会保障における高齢者雇用促進及び中途採用・経験者採用促進」と「成長戦略総論の論点」。
70歳までの就業機会確保のため、定年廃止、70歳までの定年延長、個人の起業支援など法制度上で許容する選択肢を提示した上で、70歳までの雇用確保を努力義務化するとしている。2020年の通常国会への法案提出を目指す。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai27/index.html

ポイント!
翌日の日本経済新聞は一面トップで「70歳雇用企業に努力義務」の見出しをつけ企業負担増になる懸念材料として扱っています。未来会議ではその他に「中途採用の拡大」「副業・兼業の促進」にも取り組むとしています。
上記資料の中で、「資料3;基礎資料」は労働生産性に関わる要素を幅広い視点で調査分析した結果を表やグラフで分かり易くまとめられており読みやすいものでした。

内閣府は3月29日、自宅に半年以上閉じこもっている「ひきこもり」の40~64歳が、全国で推計61万3千人いるとの調査結果を発表した。7割以上が男性で、ひきこもりの期間は7年以上が半数を占めた。15~39歳の推計54万1千人を上回り、ひきこもりの高齢化、長期化が鮮明になった。中高年層を対象にしたひきこもりの調査は初めて。 
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43067040Z20C19A3CR0000/

ポイント!
収入のない50代の子と80代の親が社会的に孤立する世帯が目立ち、「8050(はちまるごーまる)問題」と呼ばれ社会問題化しているとの事でした。
「中高年の当事者のニーズを丁寧にくみ取った就労支援に加え、当事者や経験者らが集まって緩やかに経験を共有できる居場所を全国につくることが必要である」との専門家の意見。支援の体制作りには予算や人的な資源が沢山必要ですので、各自治体の力だけでは限界があるように感じますが・・。

現在、先進各国において、職業訓練及びキャリアコンサルティングを含むキャリアガイダンス施策を一定のエビデンスに基づいて議論しようとする動向がみられる。それらの動向をふまえて、既存データの再分析による職業訓練及びキャリアコンサルティングの効果の検討がなされたもの。
https://www.jil.go.jp/institute/rodo/2019/012.html?mm=1481

ポイント!
職業訓練とキャリアコンサルティングの効果について検証する為、“傾向スコア・マッチング”の手法を用いて各データの属性を均質化した後比較したものだそうです。職業訓練についてもキャリアコンサルティングに関しても何れも一定の効果と限界があったことが示されています。今後は継続して行われる効果測定(エビデンス)に基づいた施策なり課題への取り組みがなされていくのか否か、私達も注意深く見守っていく必要があります。