インフォメーション

●副業制度、8割の企業が導入していない/民間調査

産業能率大学は5日、従業員数6人以上300人以下の企業の経営者を対象とした「2019年中小企業の経営施策」結果を発表した。人員の過不足状況について「不足している」と回答した企業は50.0%だが、一方で「適正である」は前回調査(18年調査)から4.0ポイント増加、人材不足は改善の兆しがあるとしている。
副業制度については、約8割の企業が未導入で、制度を導入していても利用率は「50%以下」が9割以上を占める。
http://www.sanno.ac.jp/research/forecast2019.html

ポイント!
昨年9月~10月の経団連が実施した人事・労務に関するトップマネジメント調査では社員の副業・兼業を「現在認めていない」企業が78.1%と、大企業もほぼ上記と同様の割合となっていました。http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/005.pdf認めていない理由として・社員の総労働時間が把握できない・社員の健康確保が図れない等の健康確保面を問題視するものが半数以上あり、その他にも・情報漏洩・ロイヤリティの低下・本業との競合の恐れ等々が挙がっています。国は働き方改革の一環として副業・兼業の解禁を推進していますが、これらの懸念材料が解消されない限り多くの企業が副業・兼業を「認める」方向に動き出すのは難しいことと思われます。

学校卒業後にアルバイトなどで生計を立てるフリーターの間に、正社員就職の道が広がり始めている。売り手市場で新卒採用に苦戦するなか、卒業後の経歴を問わず若手を採りたい企業が中小企業を中心に増えており、フリーターらの就職をあっせんする人材会社は活況で、内定率が8割に達する人材会社もある。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40836340S9A200C1EA4000/

ポイント!
次に課題となるのが定着です。多くは育成の余裕が少ない中小企業が社会人経験のない若者を受け入れる形になるため離職リスクは高く、リクルートキャリアは昨年同社があっせんした既卒者を入社後に集め、一人3日間で10万円(!)の社会人研修を始めたとのこと。
会社側もその定着に向けて、働きやすい職場環境づくりや個人の成長につながる評価の実施など人材マネジメントの改善努力が求められています。

内閣府は18日、老後の生活設計と公的年金に関する世論調査結果を発表した。」何歳まで収入を伴う仕事がしたいか聞いたところ「61歳~65歳」が答えた人が30.7%で最も多かった。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40175490Y9A110C1CR8000/

ポイント!
安倍総理は昨年10月の未来投資会議で「65歳以上への継続雇用年齢の引上げについては70歳までの就業機会の確保を図り・・」と述べておられましたが、現行の65歳までの雇用確保措置制度は変えない前提だそうです。鶴光太郎慶大教授が同じく日経新聞のコラムで解説されているように、8割以上の企業が選択しているところの「60歳定年制を維持したままの65歳までの継続雇用制度」の上限年齢引き上げだけでは、60歳以上の継続雇用利用者の就業意欲を高める効果はあまり期待出来そうにないと思います。

●働き方改革関連法に関する通達等を公表/厚労省

 厚生労働省は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」に関する通達として、「基発1228第15号(労働基準法の解釈について)」「基発1228第16号(安全衛生法の解釈について)」(いずれも2018年12月28日付)を同省ホームページで公表した。また、リーフレット「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」を新たに掲載した。
(通達)
「基発1228第15号(労働基準法の解釈について)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000465759.pdf
「基発1228第16号(安全衛生法の解釈について)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000465070.pdf
(リーフレット)
「時間外労働の上限規制」
https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf
「年5日の年次有給休暇の確実な取得」
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

ポイント!
今回のリーフレットは「・・わかりやすい解説」とある通り、見やすく分かり易い内容に工夫されているなと感じました。今年4月施行に向けて、特に実務対応編やQ&Aは総務担当者にとって必見です。

厚生労働省は、就労期間の長期化・高齢化に対応した年金制度の見直しとパートタイム労働者に対する厚生年金の適用拡大に向けた検討を開始した。近年の平均寿命・健康寿命の延伸に伴って高齢期の経済基盤を充実するには、従来のような単線型年金制度では対応できないとしている。パートタイム労働者の厚生年金適用拡大に関しては、賃金要件や勤務期間要件などについて平成31年9月までに検討結果をまとめる。
https://www.google.com/url?q=https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000355188.pdf&sa=U&ved=0ahUKEwiL_LTftpDfAhWCwrwKHaW1BSAQFggLMAI&client=internal-uds-cse&cx=005876357619168369638:ydrbkuj3fss&usg=AOvVaw2DVbA7dttFtyYsIla8NMMl

ポイント!
平成28年10月からの501人以上の企業で月収8.8万円以上などの要件を満たす者への厚生年金適用開始、さらに平成29年4月からは500人以下の企業においても労使の合意を前提とする任意の適用拡大が可能となっています。厚労省は、賃金要件、企業規模要件のほか、1年以上の見込みとしている勤務期間要件、さらに学生を適用対象外としていることなどを今後の適用拡大の検討課題として挙げています。
いずれ中小企業に勤務するパートタイム労働者(勤務時間・勤務日数が、週20時間以上で
常時雇用者の3/4未満)が厚生年金に加入することになるのは間違いないと思われます。

近年、投資家の行動が変化しつつあり、中長期的な企業価値を評価し、投資判断の際に、環境、社会、ガバナンスなどの非財務情報を組み込もうとしている。投資家が投資判断をする際に考慮する非財務情報・項目、非財務情報の考慮が企業業績と連動するのかについての調査研究。

https://www.jil.go.jp/institute/research/2018/185.html?mm=1452

ポイント!
投資家にとって投資を決定するために考慮する、企業に開示して欲しい人事施策やCSR活動についての情報として「働きやすさ、キャリア支援、安全・健康」などへの取り組みがあります。しかしながら、情報の出し手である企業にとって、例えば「メンタルヘルスによる休職者数」「労働時間、勤務場所の柔軟化」等の情報開示は経営上のメリットにつながるものではなく、「出し手」と「受け手」双方にとって「人的資産の情報開示として効果的」と考える内容には乖離が見られるようです。

厚生労働省は、年次有給休暇を取得しやすい環境整備推進のため、10月を「年次有給休暇取得促進期間」に設定している。労働基準法が改正され、2019年4月より、使用者は、年10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、毎年5日間について、時季を指定して年次有給休暇を与えることが必要となった。この制度改正を契機として、計画的付与制度の一層の導入が図られるよう、周知広報に努めていくとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000179301_00006.html

ポイント!
日経新聞(10/22第5面)の「社長100人アンケート」によると、有給5日間の取得義務化への対応が完了している企業は36.8%で、一方未完了の企業は49.3%(残りは「概ね完了」「あまり対応できていない」)と、人手不足で対応に苦慮されている様子が伺えます。
年次有給休暇の確実な取得については、労働基準法が改正され来年4月1日が施行期日となっています。全企業対象(中小企業の猶予なし)に義務付けられていますのでご注意ください!

厚労省は職場でのハラスメント対策を強化するため、2019年度から都道府県労働局の相談員を増やすほか、夜間や休日も対応する新たな相談窓口を設ける。ハラスメントの相談件数は増加傾向だが、パワーハラスメントについては明確に規制する法令がなく、指導との線引きも曖昧で、まずは相談体制を拡充して被害の防止に取り組む。

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11910000-Koyoukankyoukintoukyoku-Koyoukikaikintouka/0000201239.pdf

ポイント!
職場のパワハラ相談は2016年度には労働局や労基署などに約7万件の相談があり、10年前と比べて3倍以上増加しています。職場でのパワハラ防止を企業に義務付ける法整備は年内めどに具体案がまとめられる見通しです。
職場で理不尽な目にあって「うつ病」を発症した、あるいは仕事を辞めざるを得なかった等のパワハラ被害者への対応が急がれますが、相談体制拡充は来年4月からだそうです。

人生100年時代に向けた人づくりと多様な働き方の実現のために、学び直しの効果などについて実証的に分析。
第4次産業革命に対応するためには、先端技術を専門に扱うIT人材を育成するとともに、専門家以外の労働者も、人生100年時代を見据えた学びなおしによって基礎的なIT技術を身に付け、機械では代替できない読解、分析、伝達等のスキルを伸ばしていく事が重要である、と結論づけている。
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg17521.html

ポイント!
9月17日日経新聞に樋口美雄慶大教授が「リカレント教育の課題・学び直しの利益明確に」とのコラムで、日本企業の人的資本投資が海外に比べて低いことに加えて自己啓発が年収増や就業率上昇に寄与することを2018内閣府の「経済財政白書」のデータをもとに解説されていました。
上記の動画解説もEBPM(証拠に基づく政策立案)の観点から実証的に分析されており大変興味深いものです。

経団連は自ら掲げてきた就活ルールの抜本的な見直しの一環として、採用活動と切り離すように求めてきたインターンに関する規定も廃止する方針。
早期に企業の内定を獲得したい学生もインターンと採用を結び付けて考える傾向が強まっており、これに応じる企業が広がる可能性がある。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35669400R20C18A9TJ2000/

ポイント!
日経新聞はインターンの開始時期がさらに早くなる可能性を示した上でインターンが事実上の採用活動スタートであることを意識した動きを企業側に促しています。
これに対して労働新聞9月24日号では、今後の就活指針のあり方について学校側主導で学業の充実と学生保護を基本とした就活ルールを新たに決めていくべきであると主張しています。
今後新たな就活ルールを築いてもルールが追い付かない状況が出てくる可能性がある中で、インターンシップが就職活動の一つの柱となることはそれほど悪いことではないと思いますが皆さんは如何でしょうか?