平成20年に施行された労働契約法では、正当な手続きを踏んで定められた就業規則は、労働契約として認められることが明文化されました。
また近年の全国の労働局への労働相談件数の高止まり(平成20年以後は年間100万件超で推移)と連動した労使トラブルの増加を背景に俄然「リスク回避の為の就業規則」が注目され始めています。
ところが、中小企業の多くは他社の就業規則を流用しただけのものや、厚労省が配布するモデル就業規則を名前だけ変えて使っています。これでは、いざ労使トラブルの際全く使い物になりませんし、実態に合わない就業規則は新たな労使トラブルの火種となる危険すらあります。
会社の実態に合わせ、法に抵触しない範囲内で、かつ無理なく運用できる就業規則を作るには時間と労力が必要です。まずは、既存の就業規則の見直しを通して、「使える就業規則」にする為のチェックを行うことから始めるのは如何でしょうか。
チェックするポイントとしては、
●会社が一方的に決めたルールになっていないか(従業員にとって不利になっていないか?)
●必要事項が洩れなく記載されているか(絶対的必要記載事項は全て入っているか?)
●現行の法律に適合しているか(法律改正や判例、行政解釈の変更等への対応は?)
●適用範囲は定められているか(正社員用だけでなく、パート、アルバイトの委任規定は?)
●会社の方針や実情が反映されているか(賃金規程や退職金規程は将来的に大丈夫か?)
●時代の流れに合わせたものになっているか(休職、退職、解雇や懲戒事由、時間外等の適 用基準は詳しく明確に定められているか?)
●分かり易いルールになっているか(内容や用語)
見直しをした後の流れは下記の通りとなります。
①提案書(見積もり)作成とご提示
作成を予定している規程、協定、雇用契約書、従業員説明会への参加等、
予定される業務とおおよその期間
②ご契約
③打ち合わせを重ねながらの作成作業(通常2~3ヶ月)
④従業員代表の意見書の作成
従業員説明会(絶対的な義務ではありません)を開催して改正の周知を行った後、従業員代表の意見書を作成
⑤労働基準監督署への届出
・変更された就業規則2部
・従業員代表の意見書1通+写し1通
・就業規則変更(作成)届1通+写し1通が必要
⑥納品
労働基準監督署の受付印が入ったものを納品します。併せてWordのデータを納品します。
⑦報告書
納品後、担当者と関係者を集めて報告会を行います。(変化や効果、今後の課題等)
よく “就業規則は会社の憲法のようなもの” と言われます。
ルールブックの役割や会社のリスク回避の機能の面だけでなく、今後は就業規則によって組織を1つにしていく仕組みが求められるのではと思っています。