著者アーカイブ: yamdada_sharoshi

顧客による著しい迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」対策を企業に義務付ける改正労働施策総合推進法などが4日、参院本会議で可決、成立した。2026年中の施行を目指す。従業員をカスハラから守るため、企業に防止措置を義務付ける。対応方針の明確化や相談窓口の設置を求める。パワハラやセクハラはすでに企業の防止義務があったが、カスハラはなかった。パワハラやセクハラと同様、企業への罰則はない。
https://www.mhlw.go.jp/content/001438881.pdf

ポイント!
東京都では、4月から「東京都カスタマーハラスメント防止条例」が施行されています。防止条例に罰則規定は設けられていませんが、行為によっては刑法に定める犯罪に該当すると処罰される可能性もあります。
今後は全ての企業に防止義務がかかってきますが、顧客や従業員の年代、職場や周辺の環境、業種や役割等により各々の判断基準にギャップがありそうなことや企業が顧客には毅然とした態度が取りにくいことなど社内のハラスメント防止策以上に課題が多そうです。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf

政府は5月16日、年金制度改革関連法案を閣議決定した。
主な改正内容は、(1)パートらへの適用拡大として、月8.8万円(年収106万円相当)の賃金要件撤廃(公布の日から3年以内)、現行51人以上の企業規模要件を2027年10月から段階的に引き下げ2035年10月に撤廃、労働者の保険料負担を50%以下とする時限特例と労使折半超の保険料を負担した事業主への助成金による支援、常時5人以上の個人事業所の非適用業種(宿泊、飲食サービス等)への適用、(2)在職老齢年金の支給停止基準額の62万円への引き上げ(2026年4月)、(3)標準報酬月額の上限(65万円)の段階的引き上げ(2029年9月に75万円)、(4)遺族厚生年金の支給対象に60歳未満の男性を追加し、男女格差の解消を図る、など。報酬比例部分のマクロ経済スライドによる給付調整については次期財政検証の翌年度(2030年度を予定)まで継続する。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html

ポイント!
年金制度改革法が6月13日に成立しました。人手不足問題の緩和や年金財政の安定を図る狙いがあるとのことで段階的で長期に渡る改革が行われることになります。
影響の範囲が広いのは(1)短時間労働者への適用拡大「106万円の壁の撤廃」で、時期や措置の内容について正しく理解することが必要です。

格安航空会社(LCC)のジェットスター・ジャパンの客室乗務員が、フライトなど長時間の拘束が続く勤務時間中に休憩時間が確保されていないのは労働基準法違反だとして、休憩がない勤務の禁止と損害賠償を求めた集団訴訟の判決で、東京地裁は22日、安全配慮義務違反を認め、休憩の付与と賠償を命じた。
労基法の施行規則で、長距離乗務している場合には休憩時間を与えないことができるとする規定の適用が主な争点となった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE21BG10R20C25A4000000/

ポイント!
会社は判決を不服として即日控訴したとのことです。
地裁は、労働者らの業務は労規則第32条2項の例外業務に当たると認めつつ、休憩に相当する時間が不足しているとして、同社に慰謝料など計385万円の支払と、休憩時間に相当する時間を付与しない勤務の差し止めを命じました。労基法に違反する勤務命令は労働者の人格権を違法に侵害する行為と厳しい判断を示しています。

今年もさっそく2026年春に卒業する大学生などの就職活動がスタートした。近年、若年労働市場はバブル期超えの売り手市場が続いているが、そのなかで、若者のキャリアに対する意識は変わりつつある。JILPTが2023年11月に実施した「第3回若年者の能力開発と職場への定着に関する調査」の結果から、キャリアのスタート地点となる初職の経験に着目して、その変化をとらえる知見の一部を紹介したい。
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/086_250422.html

ポイント!
上記調査報告を読んで、これから長時間労働をまず無くしていく取り組みがどうしても必要なのではないかと改めて感じました。という次第で、5月6日に日本経済新聞のコラムで取り上げられた京都大学柴田先生の「『休み方』の現在地(下)/人口構造変化に遅れた対応」には深く頷けました。柴田氏はまず残業割増率を欧米並みに50%として「休み方改革を進めるべき」と提言されています。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO88435440S5A500C2KE8000/

新施策のスタートが集中する4月1日を迎え、育児・介護休業者の業務を代替・サポートする人材に対し、“応援手当”を設ける動きが相次いでいる。昨年から両立支援等助成金のメニューの1つにもなっており、職場で生じる負担に配慮すべきとの認識は高まっている。制度を望む従業員が約8割に上るとの調査もあり、今後の動向が見逃せない。…
https://www.rodo.co.jp/news/196239/

ポイント!
厚労省による両立支援助成金で、昨年1月から中小企業向けに「育休中等業務代替支援コース」が新たに設けられています。これは育休取得者の業務を代替する周囲の労働者に対し、手当を支給した企業へ総額の3/4を限度として助成金を支給するというものです。育休制度の利用者がある時にお互い様だからだけではなく、少々面倒でも実用的な職場支援策として活用されることをお勧めします。
https://www.mhlw.go.jp/content/001218930.pdf

厚生労働省は今般、「業種別カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(スーパーマーケット業編)」等を作成した。スーパーマーケット業界におけるカスハラの実態調査や業界企業へのヒアリングを踏まえ、カスハラに対する業界団体等の傘下企業の共通方針や、企業が取り組むべき対策を具体的に記載。また、店舗等に掲示する周知用ポスターと研修動画も作成している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_55395.html

▽「あかるい職場応援団」
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/

ポイント!
2022年の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」巻末ではヒアリングの協力企業としてスーパーマーケット、百貨店、コンビニ、ファミレス、旅客運送業、宿泊業の各社が載っていました。
スーパーマーケットの次はおそらく上記の業界のマニュアルが作成される可能性が高いのではないかと思われます。できれば病院・介護施設や通信販売業の手引きも期待しています。

人事院は2月28日、内閣人事局と合同で実施した、兼業に関する職員アンケートの結果を公表した。現行制度で兼業をしたことがある職員は6.2%。現行制度で認められないものも含め、今後、兼業を行いたい職員は32.9%で、年齢別では30代以下で比較的多い。兼業をしたい理由(複数回答)の上位は「新しい知見やスキル・人脈を得たい」「自分の趣味や特技を活かしたい」など。調査は、全国の国家公務員(一般職)を対象に実施、1,936人が回答した。併せて、兼業に関する民間企業等ヒアリング結果も公表、対象の大手企業19社のうち兼業を認めるのは15社で、兼業によるリスクを防ぐための要件が設定されている、などとしている。
https://www.jinji.go.jp/kouho_houdo/kisya/2502/kengyou-kekka.html

ポイント!
国家公務員向けのアンケートで、やってみたい兼業の類型の「自分の趣味、特技等を活かした活動」「社会貢献につながる活動」の具体的な内容や活動として例えば通訳、楽曲制作、地域スポーツ大会の運営などが挙げられており、なぜかほのぼのとした思いがしました。
https://www.jinji.go.jp/content/000004413.pdf

厚生労働省は2月26日、「経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に関する研究会」を開催した。政府は三位一体の労働市場改革の一つに「リ・スキリングによる能力向上支援」を打ち出しており、DXの進展等の経済社会情勢の変化を踏まえ、研究会では(1)経済社会情勢の状況変化に対応したキャリアコンサルティングに必要な能力、(2)キャリアコンサルタントがその能力を得るための制度その他の施策、(3)キャリアコンサルティングの活用活性化のための施策、を中心に検討する。2025年夏頃に基本的方向性について中間とりまとめ、年末に具体的な対応等について最終的とりまとめを行う予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_52813.html

ポイント!
上記(1)のキャリアコンサルティングに必要な能力の例として
・労働市場情報等のデータを支援に効果的に活用する能力
・変化の激しい時代において労働者個人がキャリア的に自立することを支援する能力
・リスキリングを含めた労働者のキャリア形成の在り方を企業に提案する能力
が挙げられています。これらから見えてくるのは、これからのキャリアコンサルタントには学卒時、転職時あるいは就労中といった労働者の個々の場面・ニーズに応じたより専門的で高度な能力が求められるということのようです。

政府は、令和9年に施行される改正入管法および育成就労法を巡り、特定技能・育成就労両制度の運用に関する方針と関係省令の作成に向けた2つの会議体を設置し、それぞれ第1回会合を開いた。運用の方針に関して意見を聴取する「有識者会議」では、基本方針案を提示。受入れ分野については、真に人手不足の分野に限定し、分野別方針で定めることなどを盛り込んだ。育成就労の転籍制限期間は各分野で決定するとした。今年3月中に基本方針、年内に分野別方針を決定する。関係省令は厚生労働省が事務局を務める「有識者懇談会」で議論し、今年夏ごろの公布をめざす。
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001301676.pdf

ポイント!
外国人労働者は、現在230万3912人(2024年10月末現在:厚労省調査)で前年比25万3912人増加しています。在留資格別の内訳は「専門的・技術的分野の在留資格」71万8812人、「身分に基づく在留資格」62万9117人に続いて「技能実習」47万725人で、これも前年比5万8224人増となっており、多くの外国人に影響を及ぼす制度改革となりそうです。
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001397715.pdf

連合は1月23日、「スポットワークに関する調査2025」を発表した。短時間・単発で雇用されるスポットワークで働く(働いたことがある)15歳以上・1,000名へのインターネット調査。仕事上のトラブルを経験した人は約半数近い46.8%で、その内容(複数回答)は「仕事内容が求人情報と違った」(19.2%)、「業務に関し十分な指示や教育がなかった」(17.7%)など。
応募する際、雇用、業務委託など契約形態を確認「する(した)」は60.6%、「しない(しなかった)」は39.4%。就業先からの説明について、業務内容の説明をどこでも「受けたことがない」は24.5%、労働条件に関する説明をどこでも「受けたことがない」は26.5%。
現行の法制度の規定で労働者を守れるか検証し、ルールを整備していくことや、企業や労働者へのワークルールの普及・充実が必要、としている。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20250123.pdf

ポイント!
同日パーソル総合研究所からもスポットワークに関する定量調査結果の発表がありました。こちらはスポットワーカーをマネジメントする側の店長・管理者への調査も行っており、今後は人材の多様化とマネジメントの複雑化を見据えた現場マネジメント力の強化や工夫が必要であると述べています。
https://rc.persol-group.co.jp/news/202501231000.html