著者アーカイブ: yamdada_sharoshi

関西経済連合会(松本正義会長)は、企業と労働市場の関係の変化を踏まえた雇用・労働政策に関する意見を取りまとめた。企業が法的リスクを踏まえて新たな人事施策を講じられるよう、公的な労働判例データベースの作成を要望している。データベースは、単に裁判例を収録するだけでなく、過去の結果や変遷を分析・類型化すべきだとした。会員企業からは副業・兼業やジョブ型雇用の広がりにより労働市場とのかかわり方が変わりつつあるなかで、人事判断の予見可能性向上を求める声が多数挙がっていた。
https://www.rodo.co.jp/news/211249/

ポイント!
意見書では、現行の労働基準法制やその他の制度の枠組みが変化する労働環境の実態にそぐわない状況が生じていることを問題のベースとして、働き方と労働移動の二つの観点から望ましい政策の方向性を示すという形で要望項目を何点か示されています。
上記記事はその一部なので、全体を読んでみて意見書への共感というか理解が深まったように感じました。
https://www.kankeiren.or.jp/material/251218ikensho.pdf

マイナビは18日、「年末年始休暇と転職に関する調査」を発表した。調査によると、正社員の約3人に1人が年末年始休暇を通じて「会社を辞めたい」と思ったことがあり、5人に1人以上が「あけおめ退職」を経験、20代では約4割と他年代より高い傾向がある。年末年始休暇中の「辞めたい気持ち」を緩和するサポートとしては、「業務負荷の均一化」「有休取得の容易化」「休暇明けは軽い業務から始める」などを挙げている。
https://www.mynavi.jp/news/2025/12/post_51296.html

ポイント!
年末年始休暇から暫く経ってしまいましたが、興味深い記事でしたのでご紹介します。
「あけおめ退職」からはどちらかというと気軽な前向きな響きを感じますが、実際年末で退職した方のお話しを伺うと、ご本人的にもうヘトヘトで追い詰められた深刻な選択であったように見受けられました。
会社の「辞めたい気持ち緩和サポート」として、まずは従業員とのコミュニケーションを日々(無理なら週1でも)こまめに取ることから始めてみられるようお勧めします。

厚生労働省は11月18日、労働政策審議会労働条件分科会を開催し、労働時間法制に関して、「テレワーク等の柔軟な働き方」「副業・兼業」「管理監督者」「労働時間の開示」の4つについて具体的課題と検討の論点を提示した。
また分科会では、解雇の金銭解決制度に関する資料として、労働局あっせんにおける解雇型雇用終了事案の分析、解雇等に関する労働者の意識調査、諸外国の有識者ヒアリング調査の結果が提出された(調査はいずれもJILPTが実施)。同分科会で解雇の金銭解決制度が議論されるのは、2022年12月の第184回以来。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65974.html

ポイント!
上記資料のうち、労働局あっせんにおける解雇型雇用終了事案の分析と解雇等に関する労働者の意識調査の結果に興味を感じました。
解雇等雇用終了事案の分析ではあっせん、労働審判、裁判上の和解の各々の請求金額と解決金の分布の傾向が分かり易く、また解雇等に関する労働者意識調査では紛争解決制度の利用状況や解雇等の経験者と未経験者がともに解雇等をめぐる紛争解決や予防のために必要と考える方策が分からないと答えた割合がダントツに高いことに改めて驚きました。

厚生労働省は17日、労働政策審議会雇用環境・均等分科会を開催し、職場のカスタマーハラスメント対策を企業に義務づける改正労働施策総合推進法、および就職活動中の学生などへのセクハラ対策を義務づける改正男女雇用機会均等法の施行期日を2026年10月1日とする案を示した。それぞれの指針の素案も示し、カスハラについては、暴言、土下座の強要等以外に、SNSへの悪評投稿や盗撮・無断撮影なども「精神的な攻撃」の例として挙げている。求職活動等におけるセクハラ対策では、事案が確認できた場合の行為者に対する必要な懲戒その他措置を講じること等を指針案に盛り込んだ。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65956.html

ポイント!
カスタマーハラスメント指針(素案)では、今までのハラスメント指針(セクシュアルハラスメント・妊娠出産育児休業等ハラスメント・パワーハラスメント)で定められている措置に新たな追加がありました。
「カスタマーハラスメントの対応の実効性を確保するために必要なその抑止のための措措・・・対処の方針をあらかじめ定め、管理監督者を含む労働者に周知する」との文言から、今後は具体的なカスハラ対応マニュアルの作成が事業主に求められる模様です。

厚生労働省は28日、2025年版の「過労死等防止対策白書」を公表した。
うつ病などの精神障害で労災認定を受けたケースについて業種別に発症理由を分析したところ、外食産業と自動車運転では、18%超が過労死ラインを超える残業だった。外食では、店長など役職がある人に負担が集中する傾向がみられた・・・
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO92232050Y5A021C2EP0000/

ポイント!
令和6年8月に閣議決定された「過労死等防止対策大綱」で調査の重点対象とされている業種(自動車運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、建設業、メディア業界、芸術・芸能分野)について、業種別の動向や外食産業のアンケート調査結果の分析などもされており、重いテーマではありますが大変興味深い内容です。令和6年度は、脳・心臓疾患および精神障害の労災の認定件数と死亡事案の件数ともに前年より増加しています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001586368.pdf

マイナビは10月10日、「オンボーディング」に着目し、分析した「組織定着に関する研究調査レポート」を発表した。「オンボーディング」とは、入社者が組織に適応できるよう支援する施策を指し、業務理解や人間関係構築、組織文化の浸透などを含む。入社直後~3カ月の期間は、「リアリティ・ショック(理想と現実のギャップ)」を受けやすく、放置すると自然改善は期待できないことから、採用前からリアルな職場情報を開示する「リアリスティック・ジョブ・プレビュー」で入社初期のショックを抑えることが定着率向上の鍵としている。
https://www.mynavi.jp/news/2025/10/post_50591.html

ポイント!
2年ほど前に労働新聞に連載されていた甲南大学 経営学部 教授 尾形 真実哉 氏の「社員がなじむ組織へ オンボーディング実践術」が頭に浮かびました。産業組織やカウンセリング理論など幅広く分かりやすい解説をされており参考にしていましたが、今回マイナビレポートで入社後3ヶ月間の支援がオンボーディングにおいて極めて重要であるとのコメントがされていたことから、受け入れる現場によりスピード感が求められるようになったのだと改めて感じました。
https://www.rodo.co.jp/series/151935/

帝国データバンクは22日、「女性登用に対する企業の意識調査(2025年)」結果を公表した。女性管理職の割合の平均は11.1%で過去最高となったが、前年比0.2ポイント増と小幅の上昇にとどまった。女性役員割合の平均も13.8%と過去最高となったが、上昇は同0.3ポイント。一方、「役員が全員男性」の企業は52.1%で依然として50%を超えている。企業の女性活躍推進策は「公平な評価」が61.9%でトップ。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250822-women2025/

ポイント!

上記の報告では、企業が女性活躍推進のために取り組んでいることを男女平等、意識改革、経営・人事戦略、働き方(男性/女性)と分かり易くグループ分けもされていましたが、全体としては課題が多く企業規模の格差問題もありで今後の推進の難しさを感じました。
これとは別に日本経済新聞の「少子化対策の盲点」の連載コラムの第一回でも長時間労働を前提とする正社員制度のままでは両立できる女性は本当に限られてしまうと述べられています。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO91353350W5A910C2EP0000/

4月から段階的に施行されている改正育児・介護休業法のうち、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置と仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が10月1日から義務化される。柔軟な働き方を実現するための措置では、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者について、始業時刻等の変更、テレワーク等(10日以上/月)、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇の付与(10日以上/年)、短時間勤務制度の5つの措置の中から2つ以上を講じ、労働者が1つを利用できるようにすることなどが事業主の義務となる。
仕事と育児の両立に関する意向聴取等では、妊娠・出産等の申出時と子が3歳になる前の適切な時期に、勤務時間帯、勤務地、両立支援制度の利用期間、業務量、労働条件の見直し等の就業の条件について、労働者の意向を聴取し、配慮しなくてはならない。

▽育児・介護休業法 改正ポイント(10月1日施行は4頁以降)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf

ポイント!
育児・介護休業法の改正は何度か行われており、改正法に伴う就業規則の見直しと届出、雇用環境整備、個別周知・意向確認など関係部署の方々のご負担は増しています。
どうせ取り組むなら前向きに取り組みたいところです。そこで法改正のバックボーンとなっている労働政策審議会建議「仕事と育児・介護の両立支援対策の充実について」から法改正の背景や趣旨を読み返してみるのも一つの方法かなと思いました。
https://www.mhlw.go.jp/content/001199670.pdf

OB・OG訪問など就職活動の場で起こるセクハラに、企業と学生の双方が頭を悩ませている。会社を介さない社員訪問は実態を知る貴重な場である一方、被害に遭った学生は選考への悪影響を懸念して申告をためらうジレンマがある。業務との線引きが難しい面があるなか、方針を定めたり相談窓口を外部に作ったりする動きが出始めた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC041CU0U5A700C2000000/

ポイント!
厚生労働省の2023年調査によると、インターン中にセクハラを受けた学生は男性が32%、女性は28%いたとのことで、インターン以外の就活中でもそれぞれ3割前後の被害を経験していたことが報告されています。
今年6月に男女雇用機会均等法が改正され1年半以内に就活生らに対するセクハラの防止が事業主に義務付けされます。以前ご紹介したカスタマーハラスメント対策と併せて事業主は対応方針の明確化と周知、予防策の浸透が必要となります。
https://www.mhlw.go.jp/content/001502758.pdf

内閣府は8月14日、「仕事と生活の調和推進のための調査研究」結果を公表した。同居している子ども(小学生以下)がいる20~49歳の男女2,853人を対象に、キャリア形成と育児等の両立を阻害する要因等について尋ねた内容となっている。
育休取得前後のキャリアプランの変化を年代・性別で比較すると、35歳以上では女性の約半数が「当初描いていたプランよりもキャリアをセーブ」と回答、プラン変更せず仕事と育児を両立するために必要だったと思うサポートとして、女性は「柔軟な勤務制度と利用のしやすさ」「職場の上司の姿勢」「職場全体の雰囲気」などが挙がった。

▽調査研究報告書
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/research/wlb_r0707/1.pdf

ポイント!
8月25日付けの労働新聞3面では、「男女賃金差縮まらず」の見出しで日本生産性本部が実施した東証プライム上場企業の「有価証券報告書における人的資本開示状況」調査の結果を紹介しています。
キャリアプランにおいても賃金差においても、相変わらず女性活躍が進まない状況のようです。根強い性別役割分担意識やそれに基づく社会の仕組みなど理由は様々あり複雑で難しい問題ですが、このまま女性が活躍できない企業が多い状況であり続けることは決して望ましいことではありません。
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/20240801_report.pdf