著者アーカイブ: yamdada_sharoshi

 物流網が危機的状況に陥る中で、今春の異動期は希望のタイミングで引っ越しできない多数の「難民」が発生する恐れが強まっている。引っ越し会社は企業に3~4月の繁忙期から転勤時期をずらすよう要請を始めた。雇用逼迫の時代、春に集中する人事異動など企業の重要イベントを分散させ、日本全体の生産性向上につなげる好機かもしれない。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26797770R10C18A2SHA000/

ポイント!
 日経日曜版の1面は刺激的なフレーズが踊っていました! ヤマト運輸などの宅配業者が労働条件の見直しに踏み切り、好待遇を求めて引っ越し業のドライバーさんがそちらへ移籍したことに端を発しているとの事です。人手不足の深刻化は運輸業界のみにとどまりません。社会全体で繁閑のギャップの平準化や休暇の分散取得を進めるなど、従来のやり方からの脱却を迫られています。これを前向きな視点で提言する姿勢には好感が持てます。

 日本商工会議所は2月1日、全国の中小企業を対象に、働き方改革関連施策に関する
中小企業の取り組みの現状や課題、要望等を把握するために行った「働き方改革関連
施策に関する調査結果」を発表した。時間外労働の上限規制が導入された場合の影響
について、2割(20.5%)の企業で「新たな上限規制に抵触する労働者がいる」と回答。
また、同一労働同一賃金制度については、3割強(36.0%)の企業が「対象となりそうな非正規社員がいる」と回答した。
http://www.jcci.or.jp/Waytowork.pdf

ポイント!
全国の中小企業2,881社を対象にした訪問調査を今年の1月にまとめられた新鮮で貴重なデータです。中でも5頁以降「同一労働同一賃金制度導入にあたっての課題」や11頁以降「女性活躍推進における課題」についての回答結果を読んでいると、これらは中小企業の働き方を云々するだけではとても解決には至らず、もっと根本的な改革が必要になるものと改めて感じました。

 厚生労働省は26日に開催された「第1回賃金等請求権の消滅時効の在り方に
関する検討会」資料をHPで公表した。第193回国会において成立した、民法の一部を
改正する法律によって、消滅時効の期間の統一化や短期消滅時効の廃止等が行われた。
本検討会においては、労働基準法第115条における賃金等請求権の消滅時効の在り方について、法技術的・実務的な論点整理を行うこととしている。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000189822.pdf

ポイント
現行労基法の規定では賃金・災害補償その他の請求権は2年、退職手当の請求権は5年となっています。これについて、労使を交えて時間をかけ見直し検討することになったのですが、さらに年次有給休暇の請求権が2年で消滅することについても検討される見込みです。(労働新聞1/15)会社及び事務担当者にとっては大きな問題となる可能性がありますので今後とも注意深く見守る必要があります。

 男女の職域分離と家庭における育児・介護役割の現状を分析、性別役割の
維持・変容を促す要因を明らかにし、女性活躍および両立支援に関わる政策の
課題を提示しています。
http://www.jil.go.jp/institute/reports/2017/0192.html

ポイント
主な事実発見の中で、「転勤(事業所を移る異動)は女性のキャリアにマイナスの影響を及ぼしている(図表1)。」「シフト勤務や日曜の勤務など、非典型な勤務時間がある男性は育児参加度が低く、妻のフルタイム就業割合も低い。」の指摘は女性の働き方と男性の働き方の見直しの、どちらが欠けても効果が薄くなることを示しているものと感じました。

 「低学歴者や初職が非正規雇用の人の正社員転換率は低い傾向」「ハローワークを
利用した正社員転換の場合、転換できる確率は他の転職経路を利用した場合と比べ
統計的に有意に高い」ことなどを明らかにしています。
http://www.jil.go.jp/institute/reports/2017/0188.html

ポイント
壮年非正規雇用労働者から正社員への転換率で、性別・年齢階層別・婚姻状態別いずれの属性においても有意差が見られる過去5年間の行動、経験を明らかにしています。さらに、過去に正社員から非正規雇用に転換した要因はその属性により大きく異なる為就職支援や対策もそれぞれ変えていく必要性が説かれており、興味深いレポートです。

 厚生労働省は20日に開催された「第4回柔軟な働き方に関する検討会」資料を
HPで公表した。副業・兼業の推進に関するガイドライン骨子(案)のほか、
モデル就業規則の改定(副業・兼業部分)の方向性等が示されている。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000185340.html

ポイント!
 在宅勤務テレワークに際して問題となっていた「中抜け時間」の扱いについては踏み込んだ内容となっているほか、副業・兼業を禁止または一律許可制にしている企業に対し再検討を要請するものとなっています。
労働新聞12/4号にもありましたが、今まで勤め先の禁止規定で副業を諦めてきた多くの労働者にとって、今回のモデル就業規則の改定は遅すぎた感は否めないと思います。

企業内で労働者の健康を管理する「産業医」制度を巡り、国は今年6月、20年ぶりの大改正を実施した。電通社員の自殺問題などを受け、長時間労働やメンタルヘルス不調への対応を強化した。産業医は情報収集などの権限を与えられ、働き方改革の後押しを求められる。だが大企業では業務量が多く、産業医だけでは対応できないケースも。産業医がいない中小企業も多く、なお課題が多い。
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11303000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu-Roudoueiseika/0000154769.pdf

ポイント!
今年6月の改正では、企業に対し残業が月100時間超の労働者の氏名などの産業医への報告を義務化するなど、産業医の役割を過労死対策やメンタルヘルス対策へとシフトさせ又その権限も拡充させました。
地味な改正ではありますが、折角の制度を形骸化させることなく活用しつつ、経営者は積極的に「健康経営」に取り組んでいくべきと考えます。

厚生労働省は10月27日、2017年の「高年齢者の雇用状況」集計結果(2017年6月1日現在)を公表した。70歳以上まで働ける企業は3万5,276社(対前年差2,798社増)、割合は22.6%(同1.4ポイント増)。集計対象は、従業員31人以上の企業15万6,113社。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000182200.html

ポイント!
労働新聞11/13付けによると、内閣府の高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会は、新しい高齢社会対策大綱案の策定に向けた報告書の中で、「意欲ある高齢者が働き続けられ、就業できる仕組みを構築することを『対策の基本』と位置付け、年金の受給開始を70歳以降へ繰り下げられる仕組みの導入などを提案」しているとのことです。
年金受給開始年齢の見直しに向けて確実に動き出していますので、今後の動向が大変気になるところです。

生産性向上の観点から「テレワーク」は有効な働き方であるが、日本企業のテレワーク導入率は約13%と欧米諸国に比べると低い。テレワークは多様な人材の確保やワークライフバランスの改善等にもメリットがある為、テレワークを進める際に障害となる従来の管理方法や価値観を社会全体で見直し取り除く必要性がある。

http://www.japan-telework.or.jp/intro/tw_about.html

ポイント!
働き方改革で良く耳にする「テレワーク」とはどういうものか、正直よく分からないままにしていたので、今回日本テレワーク協会のHPを覗いてみました。
テレワーク導入のポイントは労務管理方法、情報通信システム・機器、テレワーカーの執務環境の3つの側面からチェックすることが重要とのことでした。導入に当たっては、規程類の整備が大前提となるものと確信しました。

産業能率大学は5日、「第7回新入社員のグローバル意識調査」結果を発表した。
「海外で働きたいとは思わない」が60.4%で、前回比3.3ポイント減。理由の1位は、
「自分の語学力に自信がないから」63.6%。

http://www.sanno.ac.jp/research/global2017.html
 
ポイント!
事業のグローバル化で海外経験は重視されますが、海外勤務は日本企業で働く会社員にとっては、その約4割ができればしたくない「転勤」(労働政策研究・研修機構2016年調査)の中の『転勤』とも言えます。調査結果の、問22_グローバル化は進めるべき(79.9%)だが問13_海外で働きたいとは思わない(60.4%)は新入社員だけの本音ではないでしょう。
ところで、10/9付けの日経新聞では海外駐在員の妻が夫の駐在中も自らのキャリアを模索し活躍する姿が特集されていました。「通信進歩で遠隔でも働ける」と前向きに仕事のネットワークを広げて行く逞しさに感心し、私自身もぜひ見習いたいと思います。