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厚生労働省は10月23日、2020年版「厚生労働白書」を公表した。白書は2部構成で、
第1部のテーマは「令和時代の社会保障と働き方を考える」。平成の30年間の社会の変容を振り返るとともに、2040年にかけての変化の見通しを分析・整理し、そのうえで、今回のコロナウイルス感染症の影響も含め、今後の対応の方向性を示している。第2部「現下の政策課題への対応」では、厚生労働行政各分野の最近の施策の動きをまとめている。
(概要版)
https://www.mhlw.go.jp/content/000684406.pdf
(本文)
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/

ポイント!
概要版を見ましたが、高齢者の増加に関するトピックが多く平均寿命の推計や高齢者のみ世帯増加に伴う支え合いの変化予測について2040年頃の推計をグラフ化したものが衝撃でした。
一方少子化についてグラフ化したものは1頁の半分にあるだけであとは「少子化への対応が重要」等との文言が見られる程度です。以前よく目にした人口ピラミッド図の予測などはあまりにインパクトが強くて載せることも憚られたのかと変に勘ぐってしまった次第です。

厚生労働省は10月19日、都道府県ごとに就職氷河期世代の活躍支援策をとりまとめ、進捗管理等を統括する「都道府県プラットフォーム」を全都道府県に設置した。就職氷河期世代が利用できる支援策を一元的に案内する「就職氷河期世代活躍支援プラン」のホームページも運用を開始している。「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2019」の「就職氷河期世代支援プログラム(3年間の集中支援プログラム)」の一環として行うもの。
(就職氷河期世代活躍支援プラン)
https://www.mhlw.go.jp/shushoku_hyogaki_shien/

ポイント!
就職氷河期とは、概ね1993(平成5)~2004(平成16)年に学校卒業期を迎えた世代を指し、2020年4月現在、大卒で概ね38~49歳、高卒で概ね34歳~45歳の方となります。支援最終年の令和3度には249億円の予算規模で60以上の支援事業が予定されているとのことです。
不本意非正規の割合が高く、年齢からくる雇用面の制約も出て来ており当該支援の推進は待ったなしの状況です。

日本郵便の正社員と契約社員の待遇格差の是非が争われた訴訟の上告審判決が15日、最高裁であった。第1小法廷(山口厚裁判長)は、契約社員に扶養手当や夏期冬期休暇などが与えられないことを「不合理な格差」に当たると判断した。
【関連記事】
非正規に賞与・退職金なし「不合理」といえず 最高裁
最高裁は退職金と賞与を巡る13日の別件訴訟では、正規と非正規で業務内容が異なることを理由に、格差は不合理ではないと判断した。名目が明確な手当・休暇に比べ、退職金や賞与は支給目的が多様で複雑なことも、判断の分かれ目になったとみられる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65026760V11C20A0000000/

ポイント!
待遇格差をめぐる最高裁の判決が13日と15日と続けて出されました。両日で示された評価の違いや補足意見・反対意見を読んで、「不合理な格差」の判断の難しさを改めて感じました。例えば賞与について厚労省の同一労働同一賃金ガイドラインに依る延長線上での対応を大企業に求めることも正しくない場合があるということです。いわんや中小企業においてをや。。

男性の育児休業の取得率を高めるため、厚生労働省は社員に取得を推奨することを会社に義務づける検討に入った。社員が育休の取得を求めれば会社は取得させる必要があるが、制度として会社は社員の希望を認めるのみの内容にとどまっている。法改正によって取得を積極的に促す制度に変え、低迷する取得率の底上げにつなげる。

https://ikumen-project.mhlw.go.jp/company/training/download/promotion_smes201902.pdf

ポイント!
新政権の「少子化対策」の新たな柱として打ち出されたのが「男性の産休」の創設で、これは従来から男性の育児休業の取得率が伸び悩むなか、出産直後の一定期間に限った枠組みで取得を促す新制度だそうです(10/16朝日新聞)。さらに企業に育休取得の制度についての社内周知の義務化なども予定されており違反した場合は労働局の指導があるとのことです。
一方、出生時両立支援助成金(子育てパパ支援助成金)は今年度から個別支援加算が新設されて、企業への男性育休取得促進はまさにアメとムチ…の様相です。
https://www.mhlw.go.jp/content/000623758.pdf

帝国データバンクは9日、「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」を発表した。感染拡大を契機に、デジタル施策への取り組み状況について尋ねたところ「取り組んでいる」(75.5%)、「取り組んでいない」(19.7%)など。取り組み内容(複数回答)は、「オンライン会議設備の導入」(60.8%)が最多、次いで「テレワークなどリモート設備導入」(52.7%)、「ペーパーレス化の推進」(36.2%)など。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p200903.html

ポイント!
デジタル施策の中でも注目度の高いテレワークが働き方の選択肢として定着していく可能性が高まるなか、テレワークでのコミュニケーションについて当事者の感想をまとめたレポートを併せてご紹介します。
https://www.manpowergroup.jp/client/jinji/surveydata/20200908.html
テレワークには上記以外にも、・会社のルールが未整備あるいは不明確・セキュリティ面
・上司同僚他部門との関係性の変化・メンタルヘルスの問題・テレワークに抵抗感ある方への対応など課題は多いですが、もう後戻りは出来ないと覚悟する時期に来ているようです。

女性の雇用に新型コロナウイルスの重荷がのしかかる。女性の多い宿泊や飲食、小売りなどの業種が打撃を受け、7カ月間で87万人の雇用が失われた。こうした業種の雇用回復には時間がかかる一方、高齢化社会やデジタル化を支える人材の引き合いは強い。

ポイント!
上記の記事は職種別男女別のグラフで、女性の雇用の悪化状況を分かり易く伝えています。
ところで、既に7月に同様の警鐘を鳴らすレポートがありましたのでご紹介します。
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/macro/2020/naga20200710jyosei.pdf
いずれのレポートも、不況下での雇用縮小が非正規比率の高い女性労働者を直撃したことを挙げています。第一生命レポートでは、ここ10年ほど人手不足の充足を女性や高齢者を主とした非正規雇用者の大量採用に頼った危うい構造であったことも要因の一つとしており、もう一歩掘り下げている印象を受けました。

社会の高齢化が進む中、働く意欲があるシニアが能力を発揮できる環境を整えるよう企業に促す取り組みが強化される。2021年4月に施行される改正高年齢者雇用安定法では、企業は従業員が70歳になるまで就業機会を確保する努力義務を新たに負うことになる。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000626609.pdf

ポイント!
8/24付労働新聞によると、「就業確保措置は努力義務という位置付けですが、改正後は、年1回の高年齢者雇用状況報告(高年法52条)により「制度の実施状況」等について報告する義務が生じます。厚労大臣は、必要に応じて事業主に対し、指導・助言等をすることができる(高年法10条の3)旨の根拠規定も新設されているので、留意が求められます。」とのこと。
努力義務ではありますが、助成金の活用も視野に入れて積極的に取り組むというのも一案ではないでしょうか。

厚生労働省は7月31日、2019年度「雇用均等基本調査」結果を公表した。管理職に占める女性の割合は、部長相当職では6.9%(前年度6.7%)、課長相当職では10.9%(同9.3%)、係長相当職では17.1%(同16.7%)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r01/06.pdf

一方8/19付日本経済新聞 では、下記のような記事が載っていました。

ポイント!
「『女性管理職7.8%どまり』帝国データバンクが発表した2020年の女性登用に関する企業の意識調査によると、企業の女性管理職(課長相当職以上)の割合は前年比0.1ポイント増の7.8%となった。20年までに30%程度に増やすとした政府目標には届かなかった。…」
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p200803.html
調査年度の違いもありますが、医療・福祉や教育・学習支援業のデータ割合の差などにより、統計調査の結果は大きく変わるものであることを再認識した次第です。

国土交通省は9日、「公共事業労務費調査における社会保険加入状況調査」結果を公表した。公共工事に従事する建設労働者の社会保険加入状況は、企業別で98%、労働者別で88%。企業別、労働者別ともに加入割合は前年度比で上昇、労働者別は、調査開始以降毎年上昇。
https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo14_hh_000916.html

ポイント!
ところが…7月9日付労働新聞によると、国土交通省は、建設業界の社会保険加入対策や労働時間規制などの強化に伴い、社員である技能者を個人事業者である一人親方として取り扱い、規制逃れを図る「偽装一人親方化」が進んでいるとして、抑制策検討に着手したとのことです。今後の議論の行方を注視して行きたいと思います。
ところで上記資料において、滋賀県が建設労働者別の社会保険加入率全国最低であったこと(72%)も気になりました。

厚生労働省は、失業等給付の受給資格のもとになる「被保険者期間」について、1カ月の賃金支払の日数が11日以上ある月に加え、労働時間が80時間以上ある月も1カ月と扱うことに関するリーフレットを公表している。8月1日以降の離職者に適用する。改正雇用保険法により、勤務日数が少ない者でも給付が受けられるよう、労働時間による基準を補完的に設けたもの。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000642296.pdf

ポイント!
令和2年3月31日公布された「雇用保険法等の一部を改正する法律」で『高齢者、複数就業者等に対応したセーフティーネットの整備、就業機会の確保等』『失業者、育児休業者等への給付等を安定的に行うための基盤整備等』の強化が図られています。上記記事以外にもセーフティーネット強化策として複数の事業主に雇用される65歳以上の労働者への雇用保険適用拡大(令和4年1月施行)制度が導入されます。
https://www.mhlw.go.jp/content/000641087.pdf