著者アーカイブ: yamdada_sharoshi

厚生労働省は6日、2022年(令和4年)版「労働経済の分析」(労働経済白書)を公表した。分析テーマは「労働者の主体的なキャリア形成への支援を通じた労働移動の促進に向けた課題」。白書では、介護・福祉分野やIT分野の人材の需要の高まりなど、労働力需要の変化に対して外部労働市場を通じた労働力需給の調整が今後重要であること、キャリアコンサルティング等を通じた主体的なキャリア形成の意識付けや自己啓発によるスキルの向上等が、転職などのキャリア形成の希望をかなえる重要な要素であること、などを指摘している。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27381.html
(概要)
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000981627.pdf

ポイント!

白書は300頁以上ありますので概要で見たところ、「我が国の生産年齢人口は当面減少していく見通しである一方、介護・福祉分野やIT分野など労働力需要の高まりが見込まれる分野があり、外部労働市場を通じた労働移動による需給調整が今後重要になる。」との判断の上でキャリアコンサルティングや自己啓発の促進がそれらにプラスの影響をもたらしているとの報告となっています。
少し前ですが、JILPTの調査でも職業訓練およびキャリアコンサルティング実施の効果についてほぼ同様の報告がありましたのでご紹介します。

https://www.jil.go.jp/institute/rodo/2019/012.html 

金融庁は、株式の配当や売却益の一部に税金がかからないNISA(少額投資非課税制度)について、長期の資産形成に適した「つみたてNISA」に一本化し、恒久的な制度にするよう財務省に求めた。非課税で保有できる期間を無制限にし、投資枠の拡大も求めた。

https://www.asahi.com/articles/DA3S15404408.html

ポイント!

9/3の日経新聞のコラムにおいてもNISA一本化案のすべてが実現するかはわからない、としつつも内容を知ることはNISAなどを通じた長期の資産形成のヒントになろうとの考えで金融庁の改正要望について詳しく解説しています。
一本化されシンプルで使い勝手のよくなる新NISA拡充を進めることは、「投資による資産所得倍増を実現していきたい」政権の思惑とも合致するようですが、同時に富裕層を中心とした金融所得課税の強化が打ち出されるのでは、との甘くない見方も出ています。

今年5月、世界有数の富豪であり、Twitterの投稿が度々大きな話題になる、テスラCEOのイーロン・マスク氏のツイートが韓国に大きな反響を呼び起こした。「出生率が変わらなければ、3世代のうちに韓国の人口は現在の6%になり、大部分が60代以上の高齢者になるだろう」という内容だ。(JILPT調査部)

https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2022/07/korea.html?mm=1791

ポイント!

歯止めがかからない日本の少子高齢化について、個人的には政策の遅れや不備あるいは日本社会特有の今も根強く残る性別役割分担意識に由来するものであり、日本が先進国の中で飛び抜けて劣等生だという認識を持っていました。が、これは誤りでした!
上記調査さらに内閣府の少子化対策白書を見ると2020年の東アジア(何故か中国がありません)の中で合計特殊出生率は日本が一番高く、今のところその他の欧米諸国においても少子化対策が上手くいっている国はありません。「日本それほど悪くないかも」と認識を改めました。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/index.html

厚生労働省は、今年10月1日施行の改正職業安定法に関するリーフレットを公表している。求人情報の的確な表示のため、企業に対しては、募集の内容変更を速やかに反映することなどにより、求人情報の正確性等を保つことを義務付け、求人情報誌や求人サイトを運営する事業者等に対しては、情報の正確性等を保つ措置や苦情に対する適切・迅速な対応を義務付けるとともに、虚偽の表示を禁止している。求職者の情報を収集する事業者には、届出制を導入する。
(改正のポイント)

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000967892.pdf

ポイント!

令和4年10月1日に施行される法改正のポイントは大きく3点あり、・求人等に関する情報の的確な表示の義務化・求職者の個人情報の取扱いルールの整備・求人サイトの届出制の創設
となっています。
いずれの改正も目的は、「転職市場の活発化に向けて、求職者が安心してサービスを利用できる環境を整えるため」だそうです。新しい用語も多くなかなか理解し難い内容ですが今後トラブルや罰則の対象とならないよう企業として注意と対応が必要です。
(Q&A)

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000965559.pdf

「これまで見てきたように、教育は様々な正の外部効果を持つため、経済学的な観点からは公的な介入が支持されます。しかし、研究によって教育の有効性が示されたとしても、社会的な合意が得られなければ教育投資は行われません。これは現実の教育政策を考えるうえで重要な問題です。
特に少子高齢化が著しい日本においては、教育投資に対する政治的な意思決定は難しい問題です。高齢者は教育投資の恩恵を直接的に受けにくいため、...」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62014540U2A620C2KE8000/

ポイント!
近年「シルバー民主主義」など高齢者志向に偏った政策を問題視する声はありましたが、それよりショッキングなことに、高齢者が多数となり意思決定権を持つと「民主的な意思決定の結果」として将来世代が不利になる政策が取られる➡教育投資が減っていくことが、事実国内外の調査で明らかになっているそうです。
「若者よ投票所へ向かえ!」しかないのか?高齢者の一員として考えさせられる記事です。

厚生労働省は1日、2021年度「個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表した。総合労働相談件数は124万2,579件(前年度比3.7%減)で、14年連続の100万件超。うち、民事上の個別労働紛争相談件数は28万4,139件(同1.9%増)、相談内容は「いじめ・嫌がらせ」が8万6,034件(同8.6%増)で、2012年度から連続して最多、次いで、「自己都合退職」4万501件(同2.5%増)、「解雇」3万3,189件(同12.3%減)など。
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000959370.pdf

ポイント!
2022年度は労働施策総合推進法の全面施行で「いじめ・嫌がらせ」相談の何割かは「パワーハラスメント」相談に置き換わると思います。
ところで、過去10年の相談内容別の件数推移を見てみると2020年は「いじめ・嫌がらせ」が減っている代わりというか「解雇」「労働条件の引き下げ」「退職勧奨」相談が急増していることより、新型コロナ禍による労働環境の悪化が相当に酷かったことがグラフからも見てとれます。

政府は3日、第12回「すべての女性が輝く社会づくり本部」と第22回「男女共同参画推進本部」の合同会議を開催し、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2022(女性版骨太の方針2022)」について議論した。総理は、議論を踏まえ「『女性の経済的自立』、『女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現』、『男性の家庭・地域社会における活躍』、『女性の登用目標達成』の4つの柱に基づき、具体策を取りまとめた」とし、『女性の経済的自立』の柱については、「新しい資本主義の中核と位置付け、男女間賃金格差にかかる情報開示や看護・介護・保育などの分野の現場で働く方々の収入の引上げ、女性デジタル人材育成プランの実行等、女性の所得向上につながる施策を強力に進める」と述べた。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kagayakujosei/dai12/siryou1.pdf

ポイント!

『女性の経済的自立』施策として7月より301人以上企業を対象に男女間賃金格差の開示が義務化される見通しとなりましたが、素直に喜んでばかりはいられなさそうです。労働新聞6/13号コラム曰く「現状は、男女差と平均賃金の高さに関連性はみられない。」日経新聞6/10号大湾教授曰く「統計的裏付けのない単純な賃金差の比較は問題あり。」
何れにしても公表による効果の検証を同時に進めていくことが必要のようです。

https://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0688.html

(公財)21世紀職業財団は、「ハラスメント防止コンサルタント養成講座」をオンラインで開催する。受講期間は9月27日~10月26日(オンデマンド方式)。ハラスメント防止教育や事案解決を行うことのできる人材を養成する。テーマは、「ハラスメントの基礎知識」、「カウンセリングとメンタルヘルス」、「ハラスメントに関する労働法」、「裁判例解説とハラスメント事案解決法」。

https://www.jiwe.or.jp/harassment/consultant

ポイント!

労務相談ではハラスメントが絡んだ相談の割合が非常に多く、2022年4月からパワハラ防止措置が全企業対象に義務化されました。本講座が14年前から既にあることに驚きましたが、個人的には最新の「裁判例解説とハラスメント事案解決法」に興味があり聞いてみたいです。

主に中小企業が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)は令和4年度の事業計画を決定した。メンタルヘルス予防対策を強化するため、都道府県支部が産業保健総合支援センターと連携して、企業の健康経営を後押しする取組みを新たに始める。背景には精神疾患による傷病手当金の支給増加がある。2年度に支給した傷病手当金は約3分の1が精神疾患を理由としていた。

ポイント!

予防対策によってメンタル不調者が減れば傷病手当金の支給低減やパフォーマンスが落ちている従業員の減少に繋がることで企業と協会けんぽの双方にメリットをもたらします。ほぼ同時期に人事院はストレスチェック制度を利用した職場環境改善の取組みの推進を公表しました。
官民問わず職場のメンタル不全が大きなリスクとなっており適切な対策が求められています。

https://www.jinji.go.jp/kisya/2203/sutoresu_syokubakankyo.html

厚生労働省は、40~60歳代のミドルシニア層のホワイトカラー職種向けに職業能力を診断できる「ポータブルスキル見える化ツール」を開発し、職業情報提供サイト「job tag」内で公開した。「現状の把握」や「計画の立案」といった自身のスキルを15分程度で入力すると、本人の持ち味を生かせる職務や職位が示される仕組みで、労働者のキャリアの形成・転換に生かすことができる。キャリアコンサルタントなどの支援者が、企業内の労働者のキャリア自律と自己啓発を促すための相談や、求職者の職業相談の場面で活用することなどを想定している。

ポイント!

早速自身の能力診断を入力してみました。まず自分が得意だと思うポータブルスキル項目への配点と各レベルの到達度判定を全て主観に基づいて行う点が難しいと感じました。それだけ自身の職業能力にどれ程の市場価値があるのか日頃真剣に考えていないことがはっきり分かりました。
あと診断ツールは汎用性を持たせるためにか文章が抽象的なので、入力にはある程度サポートが必要なのではないかとも感じました。

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/VocationalAbilityDiagnosticTool/Step1