著者アーカイブ: yamdada_sharoshi

厚生労働省は、就労期間の長期化・高齢化に対応した年金制度の見直しとパートタイム労働者に対する厚生年金の適用拡大に向けた検討を開始した。近年の平均寿命・健康寿命の延伸に伴って高齢期の経済基盤を充実するには、従来のような単線型年金制度では対応できないとしている。パートタイム労働者の厚生年金適用拡大に関しては、賃金要件や勤務期間要件などについて平成31年9月までに検討結果をまとめる。
https://www.google.com/url?q=https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000355188.pdf&sa=U&ved=0ahUKEwiL_LTftpDfAhWCwrwKHaW1BSAQFggLMAI&client=internal-uds-cse&cx=005876357619168369638:ydrbkuj3fss&usg=AOvVaw2DVbA7dttFtyYsIla8NMMl

ポイント!
平成28年10月からの501人以上の企業で月収8.8万円以上などの要件を満たす者への厚生年金適用開始、さらに平成29年4月からは500人以下の企業においても労使の合意を前提とする任意の適用拡大が可能となっています。厚労省は、賃金要件、企業規模要件のほか、1年以上の見込みとしている勤務期間要件、さらに学生を適用対象外としていることなどを今後の適用拡大の検討課題として挙げています。
いずれ中小企業に勤務するパートタイム労働者(勤務時間・勤務日数が、週20時間以上で
常時雇用者の3/4未満)が厚生年金に加入することになるのは間違いないと思われます。

近年、投資家の行動が変化しつつあり、中長期的な企業価値を評価し、投資判断の際に、環境、社会、ガバナンスなどの非財務情報を組み込もうとしている。投資家が投資判断をする際に考慮する非財務情報・項目、非財務情報の考慮が企業業績と連動するのかについての調査研究。

https://www.jil.go.jp/institute/research/2018/185.html?mm=1452

ポイント!
投資家にとって投資を決定するために考慮する、企業に開示して欲しい人事施策やCSR活動についての情報として「働きやすさ、キャリア支援、安全・健康」などへの取り組みがあります。しかしながら、情報の出し手である企業にとって、例えば「メンタルヘルスによる休職者数」「労働時間、勤務場所の柔軟化」等の情報開示は経営上のメリットにつながるものではなく、「出し手」と「受け手」双方にとって「人的資産の情報開示として効果的」と考える内容には乖離が見られるようです。

厚生労働省は、年次有給休暇を取得しやすい環境整備推進のため、10月を「年次有給休暇取得促進期間」に設定している。労働基準法が改正され、2019年4月より、使用者は、年10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、毎年5日間について、時季を指定して年次有給休暇を与えることが必要となった。この制度改正を契機として、計画的付与制度の一層の導入が図られるよう、周知広報に努めていくとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000179301_00006.html

ポイント!
日経新聞(10/22第5面)の「社長100人アンケート」によると、有給5日間の取得義務化への対応が完了している企業は36.8%で、一方未完了の企業は49.3%(残りは「概ね完了」「あまり対応できていない」)と、人手不足で対応に苦慮されている様子が伺えます。
年次有給休暇の確実な取得については、労働基準法が改正され来年4月1日が施行期日となっています。全企業対象(中小企業の猶予なし)に義務付けられていますのでご注意ください!

厚労省は職場でのハラスメント対策を強化するため、2019年度から都道府県労働局の相談員を増やすほか、夜間や休日も対応する新たな相談窓口を設ける。ハラスメントの相談件数は増加傾向だが、パワーハラスメントについては明確に規制する法令がなく、指導との線引きも曖昧で、まずは相談体制を拡充して被害の防止に取り組む。

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11910000-Koyoukankyoukintoukyoku-Koyoukikaikintouka/0000201239.pdf

ポイント!
職場のパワハラ相談は2016年度には労働局や労基署などに約7万件の相談があり、10年前と比べて3倍以上増加しています。職場でのパワハラ防止を企業に義務付ける法整備は年内めどに具体案がまとめられる見通しです。
職場で理不尽な目にあって「うつ病」を発症した、あるいは仕事を辞めざるを得なかった等のパワハラ被害者への対応が急がれますが、相談体制拡充は来年4月からだそうです。

人生100年時代に向けた人づくりと多様な働き方の実現のために、学び直しの効果などについて実証的に分析。
第4次産業革命に対応するためには、先端技術を専門に扱うIT人材を育成するとともに、専門家以外の労働者も、人生100年時代を見据えた学びなおしによって基礎的なIT技術を身に付け、機械では代替できない読解、分析、伝達等のスキルを伸ばしていく事が重要である、と結論づけている。
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg17521.html

ポイント!
9月17日日経新聞に樋口美雄慶大教授が「リカレント教育の課題・学び直しの利益明確に」とのコラムで、日本企業の人的資本投資が海外に比べて低いことに加えて自己啓発が年収増や就業率上昇に寄与することを2018内閣府の「経済財政白書」のデータをもとに解説されていました。
上記の動画解説もEBPM(証拠に基づく政策立案)の観点から実証的に分析されており大変興味深いものです。

経団連は自ら掲げてきた就活ルールの抜本的な見直しの一環として、採用活動と切り離すように求めてきたインターンに関する規定も廃止する方針。
早期に企業の内定を獲得したい学生もインターンと採用を結び付けて考える傾向が強まっており、これに応じる企業が広がる可能性がある。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35669400R20C18A9TJ2000/

ポイント!
日経新聞はインターンの開始時期がさらに早くなる可能性を示した上でインターンが事実上の採用活動スタートであることを意識した動きを企業側に促しています。
これに対して労働新聞9月24日号では、今後の就活指針のあり方について学校側主導で学業の充実と学生保護を基本とした就活ルールを新たに決めていくべきであると主張しています。
今後新たな就活ルールを築いてもルールが追い付かない状況が出てくる可能性がある中で、インターンシップが就職活動の一つの柱となることはそれほど悪いことではないと思いますが皆さんは如何でしょうか?

民間企業に勤める労働者5040人に対して、インターネットによるアンケート調査を実施。
定着率向上に有効な取り組みは何か」の質問に対して、「賃金水準の引き上げ」29.1%、「労働時間短縮・残業削減」19.2%との回答結果。
定着率向上の為の具体的な取り組みを経営者に尋ねたところ「労働時間短縮・残業削減」27.9%、「賃金水準の引き上げ」18.9%と企業が実施している方策と労働者からみて有効だと思う方策が乖離した結果となっている。
https://www.jfc.go.jp/n/release/pdf/topics_180627b.pdf

ポイント!
本調査ではアンケートに加えてインタビューと企業への事例調査を実施しています。インタビューで離職経験者に対し、仮にどのような手立てがあれば前職を辞めなかったのかを尋ねて、就業者との直接的な対話の重要性についても解説しています。
調査の結果を元に中小企業が人材を定着させるための3つのポイントは、企業の事例調査まで読んでみて「なるほど!」と納得のいく提言だと思いました。

厚生労働省は7月30日、2017年度「雇用均等基本調査(確報版)」の結果を
公表した。管理職に占める女性の割合は、部長相当職では6.6%(前年度6.5%)、
課長相当職では9.3%(同8.9%)、係長相当職では15.2%(同14.7%)。
また、育児休業制度の規定がある事業所の割合は、事業所規模5人以上では75.0%
(同76.6%)、事業所規模30人以上では93.2%(同95.3%)。
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-29r/06.pdf
(結果の概要)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-29r/07.pdf

ポイント!
労働新聞8月20号でも上記調査結果について賃金の頁で特集と解説をしています。
その中で、「コース別雇用管理制度を導入している企業(大企業では5割以上で制度採用)の約4割が過去3年間に何らかの見直しをしていること」     
さらに見直しの内容が「振り分け時期の変更」「コース転換の要件緩和」等昨今の人手不足を反映して、働く側のニーズに対応する項目が目立って伸びていることに注目しています。
いわゆる1985年の「均等法対応」で大きく広がったコース別雇用管理制度は徐々に減少していくこともなく、都度の見直しで今後も根強く残りそうです。それだけ企業にとっては手放したくない制度だということでしょうか。

 リクルートキャリアは6月26日、転職エージェントサービス「リクルートエージェント」登録者の転職決定者アンケート集計結果を発表した。「入社を決める際に誰から影響を受けたか」尋ねたところ、「配属先の上司」44.9%、「入社企業の人事」32.4%、「友人・知人」27.4%など。
https://www.recruitcareer.co.jp/news/pressrelease/2018/180626-01/

ポイント!

回答者の属性を見ると、30代男性が全体の1/3を占めており逆に40代以上の女性は全体の2.5%と、やはり大手転職サイトの利用者は30代を中心とする男性が大勢を占めていることが分かりました。
今回のプレスリリースは転職決定者を対象としたアンケート調査で回答があった1201名の方の回答の一部だそうですが、例えば配偶者・パートナーへの相談の大切さを転職活動中や転職予定の方々に上手く伝えているものだなあ と感心しました。

 連合は6月28日、「有期契約労働者に関する調査2018」結果を発表した。
2013年4月施行の改正労働契約法について、「無期労働契約への転換」の内容を
知らない有期契約労働者は68%、無期転換申込権対象者のうち4人に1人が
「無期転換を申し込んだ」と回答。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20180628.pdf

ポイント!
厚生労働省が集計した平成29年度の個別労働紛争解決制度の運用状況によると、無期転換ルールの適用回避を狙った有期契約労働者の「雇止め」に関する労使紛争が多発傾向にあるそうです(都道府県労働局長による助言・指導の雇止め関連件数は前年比29%増/労働新聞7月23日号)。
適用回避のために雇止めを行った企業は今後紛争処理という大きなリスクを背負い込むことになります。まずは勤務先から「無期労働契約への転換」の内容説明を有期契約労働者の方々へ行ってもらいたいと強く望みます。